ニッケイ新聞 2008年6月14日付け
十一日、十二日の伯字紙が、基礎教育開発指数(Ideb)はこの二年で改善と伝えたが、十三日伯字紙は、それでも過去の実績以下など、辛口の批評を下した。
十一日、十二日の報道では、中等教育(高校)では基礎教育ほどの改善が見られていないと指摘しつつも、昨年のIdebは二〇〇五年より向上し、来年度の目標値も達成などが強調された。
これは、数学(算数)の得点アップと進級率の向上とにより、全国平均での四年生の成績が三・八から四・二に、八年生の成績が三・五から三・八に、高校三年の成績が三・四から三・五に上がったことによる。特に北東伯の成績向上(三二%)が注目された。
ただ、州毎の目標値では、一~四年生のミナス、五~八年生のパラーとアマパーなど、昨年の目標を達成できなかった州もある。高校では成績の落ちた州もあった。
また、Idebだけを見て教育状況改善と喜ぶことは出来ない。というのは、進級率向上によってIdebは上がったものの、実際の学力成績は低下の可能性や、別の調査では異なった面が出てくる可能性もあるため。
事実、Idebでは三課程とも上位四位までにその名を連ねたサンパウロ州は、州立校のテストで先進国並みの七点をとったのは五一八三校中七校で、高校三年生の六〇%が簡単な計算でミス。また、サンパウロ市立校テストでは、二年生の一五%近くが、簡単な文を読めても理解できていなかった。
さらに、二年毎の基礎教育評価システム(Saeb)で見ると、四年生の算数以外は一九九五年の実績を凌駕できておらず、一九九〇年代の国民皆就学運動で起きた学力低下の影響が残っていると十三日フォーリャ紙。それでも、二〇〇一年以降向上中の四年生の成績が、やがて、八年生や高校三年生の成績にも現れてくると期待している現場の声を載せている。
また、十三日のエスタード紙は、Ideb算出ベースのテストの一つで、ポルトガル語の成績は一六州で維持か低下、数学も一一州で維持か低下と報道。特に、ブラジル生徒はポルトガル語の習得に困難を覚えているとの専門家の判断に、先進国並みとなるまでの道はまだ遠いと思わされる。
国を挙げての目標が実となって表れるのを、期待と忍耐とをもって見守っていきたいものだ。