ニッケイ新聞 2008年6月18日付け
サントスからサンパウロまで歩いた「移民百年の道ウォーク」初日、サントスの出発点を訪れると、「カタオカ一家を称える」と書かれた紙を持つ非日系の夫妻がいた。
三百キロ離れた町から来たという。夫妻によれば、カタオカ氏は初期の移民。父母の代から交流があり、「町のためにも尽くした彼を顕彰したかった」と話していた。
どんな人物だったかは分からない。ただ、そのためにわざわざサントスまで来る人がいるということに、日本人・日系人がブラジル社会に刻んできた足跡を感じた。
社会の上層で活躍した人ばかりではない。形はどうあれ、この百年、その土地々々で必死に生き抜いた一世、二、三世の歩みの上に現在の日系社会があり、日伯関係の基盤がある。
今日は移民の日。新たな百年に踏み出す前に、名も知れぬ幾多の先人に思いをはせたい。(ま)