ニッケイ新聞 2008年6月19日付け
ジョビン国防相は十七日、リオデジャネイロ市のモーロ・デ・プロヴィデンシアに赴き青少年三人が犯罪組織によって惨殺されたことで軍人の関与を謝罪した。陸軍治安部隊は引き続き、社会秩序プロジェクトが終了するまで駐屯することで地域住民の理解を得た。
モーロの治安維持に出向いた軍人十一人は、拘束した青少年三人をモーロ・ダ・ミネイラの麻薬密売組織へ引き渡した。三人は拷問を受けた末、ごみの中から遺体となって発見された。
大統領府と国防省は、麻薬組織の縄張り争いがひんぱんに起きる同地域に、軍の介在が必要であると判断した。事件は、そんな情況下の惨事だ。政府は、地域住民の代表と連携で治安維持に対処する考えだ。
これまでの社会秩序計画は、治安部隊監視下の地域家屋修復であった。しかし、左官らは作業中止を訴えた。地域住民が求めているのは、生命の保障であり感情のしこりを解くことである。
青少年の惨殺を捜査するドミンゲス刑事は、身柄を引渡した軍人の電話明細開示を申請した。同軍人は麻薬組織と癒着し、モーロのフリーパスを持っていた。電話明細から組織の中で、どんな役割を担当していたのかを解明する。
事件に関与した軍人十一人のうち九人は、麻薬組織と二股をかけ土産の往復で金銭を享受していた。軍人の証言によれば、事件当日三人の少年が乗った軍用トラックを軍人らは運転していた。三人をトラックから降ろすと、不審な車数台に囲まれたという。
武装した不審車の一味は、軍人よりも人数と所持武器で勝っていた。軍人は交戦するよりも、青少年を渡してことを穏便に済ませたらしい。
陸軍治安部隊と軍人は、地域住民の評判が悪い。軍人は組織から小遣いを稼ぎ、治安部隊は左官の案山子と見られている。政府の社会秩序プロジェクトは、お役所仕事といえそうだ。
リオデジャネイロ
陸軍部隊は、二〇〇六年三月にも担当官と麻薬組織の癒着関係で告発された。担当官が武器を密売したり、武器盗難の手引きをするなどの密告が後を絶たない。