ニッケイ新聞 2008年6月19日付け
最初の日本移民七百八十一人がサントスに上陸してから百年にあたる六月十八日に、フォーリャ紙が移民特集を発行。日本人・日系人が日本人・日系人同士の結婚を望み、日本語を継承してきたことが、百周年の今に至るまで、大和魂を覚え、日本文化を失うことなく伝えてきた鍵ともなったと報じた。
それによると、サンパウロ市でのアンケートで、既婚か同棲(三三%)、伴侶と死別、離婚(各4%)と答えた人の六六%が、日本人・日系人と結婚。世代別では、伴侶が日本人か日系人という人は、一世九〇%、二世六九%、三世四九%。男女比では、男性六三%、女性六八%となっている。
参考までに一九八八年実施の調査結果を見るならば、伴侶が日本人か日系人だったのは、サンパウロ市で五七・三%、大サンパウロ市圏で六一・五%。百周年が近づいてきていたことが、再び日本人・日系人の伴侶を求める方向に働いたのではとの見方もある。
ただ、この傾向も学歴や収入、年齢によって変わるようで、高所得者では五七%、高学歴者では五六%が日本人・日系人と結婚。また、三五~四四歳の七〇%、二五~三四歳では五五%が日本人か日系人と結婚という数字からは、移民者数減少期は日本人同士の結婚を考えたことが伺われる。
一方、言語継承の面では、八二%の人が、程度の差こそあれ日本語を理解。日本語が読めるは四六%、日本語が書けるは四二%で、日本語を覚えたのは家庭が七三%、日本語学校でが四四%。日本で働きながら、または日本で勉強して覚えたも一五%。日本語熱は高まっているともいう。
また、日本文化に興味がある人は五九%で、日本人の店で買物八九%、日本食を食べる九五%、日本の映画を見る五八%、日本語の刊行物を読む四八%、TVの日本語番組を見る四四%、マンガを見る四四%などのほか、玄関で靴を脱ぐも二五%。日本人会などに参加している人は十人に三人で、趣味は折り紙、マンガの購読、カラオケが、三八、三七、三〇%と報告されている。
住むならブラジルという人は全体で八七%。男性八三%、女性九二%というのも興味深い。
中には、日本人・日系人がブラジル人や他の東洋人を差別しているという人がそれぞれ四四%、ブラジル人は日本人・日系人を差別しているという人が三六%という気がかりな数字もあるが、新聞やテレビでも連日百周年絡みの報道がされる様子などに、日本人・日系人がブラジルに受け入れられ、同化してきた歴史も伺われる。