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リオ連邦裁判所=陸軍部隊に即時退去を=軍隊の役目に非ず=惨殺事件で計画が裏目に=品行粗暴で住民が嫌悪

ニッケイ新聞 2008年6月20日付け

 リオ連邦裁判所のコエリ判事は十八日、モーロ・デ・プロヴィデンシアに駐屯する陸軍部隊に即時退去の仮処分を下したと十九日付けエスタード紙が報じた。同判事は地域の治安確保のためなら治安部隊の派遣が望ましい措置であり、軍隊は派遣の目的から外れた行動をとっていると見ている。社会秩序への軍隊起用は、連邦令では認められていないという。
 陸軍部隊の退去命令は、青少年三人の惨殺が引き金となった。遺体は、フルミネンセの粗大ゴミ埋立地からバラバラ死体で発見。政府内でも陸軍部隊の派遣で、意見が二分している。 
 陸軍の治安活動への出動は、非常時に、大統領の指揮権発動で行われるべきという。民家の修復という社会秩序計画下での作業時間外の治安活動は、軍隊の役目ではないというのだ。
 しかし、陸軍は、現状では、民家の修復工事の安全確保だけではなく、地域の暴力団掃討のためにも続けての駐屯が必要だという。地域の治安維持は警察の責任だというが、組織の一掃には、警察のできないことで軍隊の出る幕があるという。
 リオの貧民窟は、ゲットーと呼ばれる。都市の中に独立した都市があり、丘陵の大部分は当局の関係者といえども出入りをチェックされる。麻薬組織または旧軍属の縄張りである。
 住民による陸軍部隊の評判は、よくない。士官の中には、警察官に見られない品行粗悪や中毒症状を呈する人間が、少なくない。人柄が粗暴で住民への暴力は、日常茶飯事であった。
 リオ州の治安情況は、犯罪組織が軍警を取り込み、情報が筒抜けのため機能しないと国家情報局が報告した。犯罪組織の数も多く、複雑に入り組んでいる。小遣い稼ぎには、格好の場所だ。
 三人の青少年惨殺に関与した士官十一人は、取り調べに対し異口同音に上官ギデッチ少尉の命令と口述した。リオ第四警察署は二十三日、十一人を殺人罪で第三刑事裁判所へ起訴する模様。
 少年たちは、軍人らを侮ったとして不敬罪で拘束された。同少尉は上官から少年の釈放を命じられたが、犯罪組織への土産にした。一味が「アレモンの住民か」と問うと、少尉は「プレヴィだ」と答えた。一味は理由もなく少年らを殺害した。