ニッケイ新聞 2008年6月20日付け
米金融危機が起きて一年になるが、内容は未解明である。そこへ原油と食糧の高騰という新たな危機が押し寄せ、二年間潜んでいたインフレがレーダーに表れたとする論説を十五日付けエスタード紙が掲載した。
大阪のG8財務相会議は、コモディティ高騰が諸悪の根源だという結論だ。経済専門家は、コモディティ高騰と不動産ローンを震源とした金融危機は無関係で、コモディティ元凶論は見当違いだと批判している。
諸悪の根源で数々の説が出たが、どれもはん祭のいけにえ探しで納得できる説がない。投機家の仕業やエタノール悪玉、中銀の優柔不断、新しいバブル形成のため息を吹き込み中などである。
この潜在インフレは、アジア諸国の新しいパワーが生まれる前の胎動期と同紙は見ている。不動産ローンがばら撒いた大量の通貨、超格安の中国製品、長期ローンの金利低下、米国債に群がるBRICsマネーと、インフレを押し上げる材料が揃っている。
米国は銀行経営のノウハウを編み出し、取り付け防止はもうないようだが、国際経済への連鎖反応では問題先送りだ。これからは中国が自分の取り分を少しずつ回収するから、ブラジルを始め各国は、それに合わせて経済政策を採るべきであるという情報だ。