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皇太子殿下、コロニア代表とご接見=ブラジリア=嗚咽にむせぶ老移民も=「涙出るほど嬉しかった」

ニッケイ新聞 2008年6月20日付け

 【ブラジリア発】皇太子殿下は十八日午後、各界で活躍する日系社会の代表ら六十人と日本国大使公邸でご接見に臨まれた。アマゾンやバイーア、南マット・グロッソから出席した各文協会長らの話に興味深そうに耳を傾けられた。バイーア州から出席したウナ日伯文化協会の立石武士会長は、皇太子殿下と握手した瞬間に感激のあまり嗚咽(おえつ)を漏らし、目頭を抑えた。ニッケイ新聞の取材に「もったいないこと。夢のようです」とその感激を語った。
 同日午前には、大統領府であった記念式典と、記念切手・記念硬貨の発行式、百五十人の日伯功労者メダルの授与式にご出席。午後には、連邦議会主催の歓迎式典に名誉議長としてご出席されるなど、多忙なブラジル訪問初日を迎えられた皇太子殿下。
 しかし、お疲れのご様子を見せることもなく、終始穏やかな笑顔を絶やすことなく、出席者一人一人としっかりと握手を交わされ、優しくお言葉を掛けられた。
 「今回の殿下のご訪問で若い議員らとも交流を持たれ、新しく親密な日伯関係が持たれることを期待しています」と話したパラナ日伯商工会議所の上野アントニオ会頭は、皇室とコロニアの関係にも期待する。
 「今回で殿下にお目にかかるのは十八回目。『両陛下が上野さんによろしくと言っておりました』と聞き、涙が出るほど嬉しかったですね」。
 SEBRAE(中小零細企業支援サービス機関)の岡本パウロ総裁による「日本から帰国するデカセギが起業できるよう日本でセミナーを実施するなどしています」との説明に皇太子殿下は、感心されたご様子を見せられ、「いいお仕事をなさってください」と力づけられた。
 四月に東京、神戸であった日伯交流年式典に出席したブラジル日本移民百周年協会の上原幸啓理事長は、同月に天皇・皇后両陛下が群馬県大泉にご訪問されたことに関し、「コロニアが感謝していると両陛下に伝えて欲しい」と神戸で皇太子殿下にお願いしていた。
 「今回、『両陛下に伝えておきました』というお答えを頂きました」と満足気な表情を見せた。
 「日本語で話すべきだけど、間違えたら失礼なので…」と恐縮しきりのクイアバ日伯文化協会の高野セザール会長は、ポルトガル語で「私の人生の中で殿下とお会いできるなんて考えもしなかった。亡くなった両親も喜んでいることと思います」と話した。
 トメアスー文化農業振興協会の海谷英雄会長は、「クプアスーやアサイなど熱帯果実の栽培、加工を手がけています」と活動状況を報告。来年九月に『アマゾン入植八十周年』を迎えることから、「一九二九年の第一回入植三家族も健在で頑張っております」とご訪問をお願い。
 「もちろんお返事は頂けなかったけど、トメアスーと聞いて『ピメンタのですね』とおっしゃられた。天皇・皇后両陛下もトメアスーのことは気にかけて下さっている」と嬉しそうな表情を見せた。