ニッケイ新聞 2008年6月24日付け
二月二十四日付けエスタード紙はチエテ川流域百二十キロに魚復活と報じていた(二月二十六日付け本紙既報)が、二十二日フォーリャ紙は、チエテ川流域の下水処理は不十分で、二〇〇七年の水質は悪化と報じた。
環境浄化技術公社(Cetesb)報告によると、サンパウロ州水道局の下水処理施設では、肥料の三要素でもある窒素や燐の除去が不十分で、このままでは、貯水池やダムなどで富栄養化した水に微生物やアオモが繁殖し、水中の酸素不足や水中生物死滅という状態が起こりうる。チエテ川流域では、レメジオス橋、エドゥガルド・デ・ソウザダム、ピラポラダム近辺の窒素や燐が高濃度である他、水中生物の生息に必要な酸素の不足度を示すIVAを見ても、チエテ川の有機物汚染は改善されていないという。
河川の水質は公共衛生にも直結するが、サンパウロ州水道局が行う六十億レアルの投資では、技術的革新はなく、経費の安い第一世代型下水処理施設の拡大計画のみ。これに比べ、連邦管轄区では、経費は高いが、汚染物質除去は効果的に行われる第三世代型が五〇%。
汚染物質の除去が不十分だと川下の水質悪化も起こるが、下流のピラポラ・ド・ボン・ジェズスのIVAは九・五。上流でもアルジャで八・三、スザノで七・七のように、下水処理率や農薬使用率により、生物生息が困難なほどの汚染状態水域もある。また、飲用水の水質低下が、一昨年より低下したことも憂慮すべきこととされている。
二〇〇七年の飲用水の水質は、最良二%、良二十九%、標準、悪、最悪がそれぞれ二四、三三、一三%だが、二〇〇六年の最良四%以下、五一、二八、九、八%と比べ、質の低下は明らか。ちなみに、アウト・チエテの水質は最良/良いだが、グアラピランガは悪。
五月十七日付け本紙でも報じたが、窒素は生活廃水などの浄化の他、農薬の過剰使用を避けることなどが必要。燐も、生活廃水他、農薬の過剰使用分が雨などで河川に流れ込んだ可能性も強い。
ブラジルの下水処理率はまだ不十分で、Cetesbによると、リベロン・プレット地区の河川に流れ込む水の処理率は五一%。また、ツルヴォ・グランデ地区の処理率は三〇%だともいう。