ニッケイ新聞 2008年6月24日付け
サンパウロでの記念式典参加や日本人・日系人との交流に臨まれた皇太子さまは二十二日午前、北パラナ・ロンドリーナ市をご訪問され、市内セントロに建設された「日本移民広場」(Praca da Imigracao Japonesa-TOMI NAKAGAWA・中川トミ広場)の開園式に出席された。
予定より十五分ほど遅れた午前十一時半ごろにご到着、ジョゼ・アレンカール副大統領、同市の日本移民百周年祭典委員会の吉井篤委員長夫妻、レキオン同州知事、佐藤宗一在クリチーバ総領事、メジソン・ミネケッチ同市市長らの案内で、メインゲートとなる巨大な鳥居をお通りになり、艶やかな着物姿の日系女子の迎えを受けられた。
厳重な警備のなか、皇太子さまは笑顔で右手を振られて観衆の声援に応えられたあと、ミネケッチ同市市長、アレンカール副大統領、レキオン州知事による公園中央の石碑の除幕式をご覧になった。
続いて、特別席に招待された同市在住の日本人高齢者らとあいさつを交わされた後、公園のメイン建造物で、日本人造形作家・豊田豊さん制作の移民顕彰碑に向かわれた。途中、一九二九年から三十四年に同市に入植した日本人移住者、百四人の名を刻んだ塔の裏の壁面前で立ち止まられた。塔のまわりを一周される間も、笑顔で手を振られた。
清清しい冬晴れの下、鯉のぼりが気持ち良さそうに泳いだ。約一万平米ある公園のまわりには、一万人近い地域住民らが集まった。同市在住の日系高齢者も多く、皇太子さまのご到着まで、手を合わせてじっと待っている人もみられた。
「皇太子さまのお顔を直接みるのは初めて」と話したのは、同市在住五十年の森谷ていさん(88・山形県出身)。「大きな鳥居があり、ブラジルでは想像もつかないほど立派な公園ができて嬉しいです」と笑顔を浮かべた。
同市郊外に四十四年暮らしている上地八査雄さん(87・和歌山県)花子さん(81・同)夫妻は「公園に皇太子さまがお立ち寄りになり、あり難い限り。場所もいいので散歩しに来ようと思います」と喜んでいた。
半世紀にわたり同市に暮らし、スペインとポルトガルの移民を両親にもつブラジル人女性、ロドリゲス・ハンゾさん(84)は、公園を「マラヴィリョーザ」と称えた。孫夫婦が日本に暮らしていることもあり、「私は日本文化や習慣を愛しているし、尊敬している」と興奮気味に話していた。
公園全体の企画も担当した豊田さんは「皇太子さまとお言葉を交わすことが出来ませんでしたが、高さ二十二メートルあるモニュメントを見上げて頂き感動した。大役の仕事を成し遂げられてホッとした」と安堵の表情を浮かべた。
皇太子さまは同公園に十五分ほど滞在されたのち、レキオン州知事、西森ルイス同州百周年委員会実行委員長(州議)共催の歓迎昼食会に参加されるため、カンベ市のヴィラッジ・イベントセンターに向かわれた。