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リオの青少年殺害事件後=退去命令の軍いまだ駐留=複雑な人間関係が背景に

ニッケイ新聞 2008年6月25日付け

 リオ市の青年たちが軍人に連行され、翌日遺体で発見された事件で、即時退去を命じられた軍。上告により、軍の駐留は一時的に認められたが、軍の行動はあくまでもシメント・ソシアウと呼ばれる家屋改修工事関係とし、行動範囲も、工事現場を含む百メートルの域内とされたのが二十日。
 その後、二十二日伯字紙が、軍が規定範囲を守らず許容範囲外の行動を行っていると報道。また、二十四日エスタード紙は、二十三日に大統領が遺族らと対談し、軍の駐留は正当とは言い難いと述べたと報じた。
 本来は、回収工事に携る技工兵と工事用資材保護のために配属された武装兵が起こしたのが今回の事件だが、大統領によれば、経済活性化計画(PAC)でも軍による警備はなく、同プロジェクトに軍が派遣される必然性はない。
 また、大統領は、国防相から受けた報告と、住民たちから聞いた内容には差があると指摘。さらに、事件に関与した軍人は一般の裁判に伏すのが適当との判断も示した。
 大統領と住民との直接対談は、二十日に住民との対談を行った国家人権擁護局長の進言によると思われるが、住民たちは、二十日の時点で、脅迫を受けている遺族の保護と軍撤退要請の他、治安部隊の派遣は希望しない旨、大統領に伝えて欲しいと申し入れていた。
 一方、国防相や軍は、軍を退去させるなら、技工兵も退去させ、プロジェクトは中断と発言。プロジェクトは次期リオ市長を狙う上院議員提出の法案によるもので、上議がプロジェクトを選挙前の宣伝に利用との批判や、プロジェクト開始前にプロヴィデンシア丘の密売者たちに、事を起こさないよう申し入れをしたなど、リオの麻薬密売者や政治家、治安担当者たちの微妙な力関係なども見え隠れしてくる。
 また、殺された青年の一人はプロヴィデンシア丘密売者首領のいとこ。軍人たちが復讐を口にしていたことから、ライバルへの身柄引渡しは復讐と懲罰のためとみられている。軍人たちも含むファヴェーラ住民は、日常化した犯罪や密売者同士のライバル意識の中で育つなどの指摘もあり、リオの社会的問題の縮図的事件ともいえる。
 二十六日には軍の対処について国としての結論を出さねばならない中、軍の撤退だけでは解決しない問題も見えている。

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