ニッケイ新聞 2008年6月25日付け
失われた十年といわれるブラジルの八〇年代、日本の九〇年代が現在、米国へ渡った。米国のマスコミにリセッションや失業、金融パニック、消費者ローン落ち込みの語句のない日がない。
米国人は、経済危機がもたらす結果や対処の仕方が分からない。いつも他国の経済を助けた米国が、まるでゴミ箱の中に放り込まれた気分だ。
損失は一兆ドルと見られ、一九三〇年の世界恐慌以上。ブラジルが八〇年代に失ったのは、二千億ドル。日本が九〇年代に失ったのは五千億ドル。どちらも回復に、長い時間を要した。
米経済を救済するため、ブラジルをどん底から救ったブレイディ構想が浮上している。かつての伯米関係が逆になり、往年の恩返しをしなければならなくなった。