ニッケイ新聞 2008年6月25日付け
サンパウロご滞在中の皇太子さまと日系人・在留邦人とのご接見が二十日午後五時から、ご宿泊のホテル「グラン・メリア・モファレジ」であり、約五十人が出席した。
森口イナシオ援協会長があいさつ、皇太子殿下が書かれた英国オックスフォード大学留学時代の回想録『テムズとともに』(徳仁親王殿下、1993年、学習院教養新書7、非売品)がポ語に翻訳されたことを踏まえ、水に関する写真集などを贈った。
皇太子さまは一人一人と握手され、微笑みを絶やさず、親しく会話を楽しまれた。
サンパウロ州ポンペイア市の農機会社「JACTO」の創立者で、西村俊治技術財団代表としてポンペイア農工学校で農業者子弟の教育に携わってきた西村俊治さん(98、京都)「私は田舎者でえらい人ではないから、特に何も話さなかった。ありがとうございますと言って握手をした。本当に優しい感じの人だった」と印象を語った。
天皇陛下と遠縁にあたる多羅間俊彦東京都友会名誉会長(79)が、同日にあった文協ビルのご訪問に触れ、「コロニアのお年よりと会って頂き、みな大喜びしております」と伝えると、皇太子さまはにこっと微笑まれた。
植物学者の橋本梧郎さん(95、静岡)は、パラナ州ローランジア市創設の「パラナ開拓農業博物館」の初代館長。八二年に来伯された皇太子さまを同博物館でお迎えしたことを伝えた。それに対して皇太子さまは「私も当時のことをとても懐かしく思い出します」とお答えになった。
百周年の協会の上原幸啓理事長は、皇太子さまと両手でしっかりと硬い握手をして、うっすらと目に涙を浮かべた。「天皇陛下からお言葉をいただいて、胸に秘めるものがあり、感激した」と振りかえった。
皇室ご来伯のさい、護衛を務めてきた元軍警大佐の西礼三さん(77、二世)には、久々の再会を喜ぶ笑顔を見せられ、「前来たとき(八二年)はお世話になりました」と話された。
「もう年を取ってしまいました」と話す西さんに、「両陛下から『くれぐれもよろしく』とのことです。お体大切になさってください」と心遣いを見せられた。
皇太子さまのハードスケジュールに「大変ではないですか」と気遣った青木智栄子さん(59、ホテル経営)には、「有難うございます。充実した滞在を過ごさせて頂いています」と笑顔で話された。
「よく存じ上げております」とお声を掛けられ、びっくりしながらも喜ぶ平田アンジェラさん(63、二世)は、ブラジル産サンダル『アヴァィアーナ』を広めた貢献者。
「日本の草履にちなんだものです」との説明に「世界中で有名になっていますね。頑張ってください」と力付けられていた。