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大油田は狙われる=国防相、南米安保理を急ぐ

ニッケイ新聞 2008年6月28日付け

 米国は年間、世界産油生産の四分の一に当たる七十億バレルを消費する。国内埋蔵の石油を消費すると、四年で枯渇する。そのため中東の石油に深く依存する。だからサウジ・アラビアに米軍が常駐するのだ。
 そこへ思わぬ朗報が降って湧いてきた。サントス沖の岩塩下油田である。米国は、埋蔵量を五百億バレルと見ている。この大油田は幅二百キロ、長さ八百キロにわたるとブラジル版ル・モンド・ディプロマティック誌六月号が報じた。
 ブラジル近海に第四艦隊を配置したのは、米国の裏庭に柵を設けて立ち入りを禁じる行為だ。ジョビン国防相は近海に艦隊を配置しても、ブラジル領海での米第四艦隊の航行を禁じた。
 米国が喉から手が出るほど南米を支配下に置きたい理由が、もう一つある。世界広しといえども淡水が豊富にあるのは、南米だけ。南米の地下には、世界中の人間が百八十年飲めるだけの淡水が眠っている。
 国家石油庁(ANP)のリーマ総裁は心配が増えた。大油田は、領海二百海里(三百七十キロ)の中に入り切るのか。三百海里に広がり、領海外にはみ出る可能性もある。
 リーマ総裁は五月十五日、米南大西洋艦隊のスタヴィリジス提督に書簡を送り、「米国はブラジルの領海と国連が決めた経済水域を侵犯しない」とする言質を得た。
 問題は、ジョビン国防相の南米安保理構想と第四艦隊の配置だ。南米安保理には国防政策と軍事演習、国連平和部隊の派遣、軍需産業の勃興などを挙げている。そのため、UNASUL(南米共同体)を立ち上げようとしたが失敗した。
 南米安保理の障害となったのは、コロンビア・米国の軍事同盟だ。南米におけるコロンビアの孤立化は、同国が事実上の警察国家だから。政府と秘密警察との関係が明るみに出ると、ウリベ政権が崩壊する。