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東西南北

ニッケイ新聞 2008年6月28日付け

 世界の麻薬事情報告によると、ブラジルの麻薬中毒患者は八十五万人で、コカイン使用者はアメリカ大陸二位の八十七万人。国内の麻薬使用者は急増しており、二〇〇一年~〇五年の間に、大麻は人口の一%が二・六%、コカインは〇・四%が〇・七%に増加。コロンビアでのコカイン増産で、欧州、アフリカへの中継途中に国内消費に回ることが多い。世界では、年に一度以上麻薬を使う人は十五~六十四歳で二億八百万人に上り、うち半分は月に一度以上使用。ブラジル政府の無対策を批判する専門家もいる。
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 リオのプロヴィデンシア丘の家屋改修工事は、選挙裁判所の命令で二十四日に中止となり、当日朝崩された家の住民など、途方にくれていた人々もいたが、二十五日に司法当局の工事再開許可。企業から募った寄付金九万五千レアルを元手に、失業しかかっていた百五十人の大工らが現場に戻った。もちろん、軍は撤収し、自分たちの手による改修工事。
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 二十六日のルッチ・カルドーゾ氏の埋葬では、息子たちの前で涙を流すカルドーゾ氏をセーラサンパウロ州知事が抱きしめ慰める場面などが報じられた。人類学者であり、カルドーゾ政権では公私にわたる助言者でもあったというルッチ氏の埋葬参列者は約二百人。三百の花輪も届けられたという。
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 さすがブラジルと思わされたのが、公立高校にコンドームを無料で入手できる機械四百台設置という計画。カーニバルの時期には避妊薬やコンドームが無料配布されたり、エイズの治療も無料で受けられたりと、日本人には考えられない国だが、一説には、軍政終了で国外にいた政治家たちが帰国したころからエイズが流行り始めたとも。