ニッケイ新聞 2008年6月28日付け
自己採点で何点だったと思いますか?――との問いに、百周年記念協会の松尾治執行委員長は「二日間とも会場は一杯になった。ぜひ及第点をもらいたい」と答え、二十一日のサンパウロ市記念式典を振り返った。
皇太子さまご臨席のもと時間通り、午後四時から始まった式典。当初の予定では、日伯両国の来賓の入場時に主要な人物の名前がマイクで呼び上げられるはずだった。
舞台の上には麻生太郎日伯議員連盟会長を団長とする国会議員団十一人、日本から訪伯していた県知事十三人、副知事三人、県議会議長十五人、さらにブラジル側も斉藤準一空軍司令官、上田雅三連邦高等裁判所判事ら日伯両国の各界を代表する蒼々たるメンバーが並んでいたが、実際は一切紹介されなかった。
松尾執行委員長は「当然やるべきだった。わざわざ日本から来てもらって名前を出すのが礼儀。催しごとの間にアナウンスすることもできた。打ち合わせではやることになっていたんですが…」と残念そうにする。
また、日本からの祝電も沖縄県、北海道、島根県、神奈川県はじめ、金沢市、松江市など多数あったが一つも紹介されなかった。
これについても同執行委員長は「代表的なものだけは紹介するはずでした。せめて小泉純一郎元首相の祝電だけでも読み上げたかった」と落ち度を認める。
また、当日メトロ・チエテ駅から会場までの巡回バスが渋滞に巻き込まれて、順番待ち列が百メートル以上、一時間以上の待ち時間になる混乱も見られた。
松尾執行委員長は「全体的には、大きな混乱もなく終わることができたと思う」と総括。安堵の表情を浮かべ、「協力してくださった方々、会場まで足を運んでもらった高齢者のみなさんにお礼をのべたい」と語った。アトラクションの出演者ら約一万人、約千人のボランティアにも「本当によくやってもらった。彼らがいなかったら成功はなかった」と感謝した。
今後の問題として浮上しそうなのは、アニェンビー国際会議場で開催された「日本文化週間」の資金が足りなかった件だという。不足金額は明らかにされていないが、今年七月末までルアネー法が認可されていることがあり、「執行委員会でしっかり検討し対応していきたい」とした。
なお県人会や地方の日系団体の希望枚数を大幅に削り、方々から不満が噴出した入場券の配布問題については、式典数日前に、ブラジル政府関係に割り当てていた約千枚の券が委員会に返却されていたことを明らかにした。
この券を配るため急きょ、アニェンビー国際会議場の記者室で一般配布を実施。「式典前日に百周年協会にチケットの有無を問い合わせしてきた人には、そちらを案内しました」。
松尾執行委員長は「私たちが持っている入場券は全部配りきった」と胸を張る。ただし、最初の段階で削られた人で、結局入れなかった人がいたことも十分あり得る。
ある来場者からは「アトラクションは感動的だったが、式典の基本的なことが無視された」と指摘する声も聞かれた。