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扶助金調整は焼け石に水=理想には程遠い生活実態=基礎食料品の購買力も低下

ニッケイ新聞 2008年7月1日付け

 本紙二十七日既報の生活扶助増額支給が始まるが、生活扶助について、二十八日伯字紙や二十九日フォーリャ紙が、現政権にとって悲喜こもごもの調査結果を報じた。
 喜ぶべきは、生活扶助が食料品や学用品購入に宛てられたこと。特に、食料品購入に利用するは八七%で、生活扶助が目指した食の改善にそった利用となっている。
 一方、食の安定が確保されているのは扶助家庭の一七%にすぎないという。食料不足や食事の回数確保が出来なくなる不安あり二八%、食事の量を減らしている三四%、一日三度は食べられないが二一%という数字は、飢餓ゼロを掲げ、全国民が三度の食事が取れるようにという現政権の目標には程遠いといえる。
 報告内容をもう少し見てみるならば、生活扶助で購入した食料品は、砂糖や菓子類、清涼飲料水などが多く、米やミルクがそれに続く。これは、野菜や果物、肉の消費が増し、菓子類の消費は減るという当初の予想からは外れた結果。菓子類の消費量増加は、値段が比較的安定しており買い置きができる他、米やフェイジョンが買えない時や、食事が準備できない時の代用食的機能を果たしている可能性もある。
 また、低所得者対象のインフレ指数IPC―C1は過去十二カ月で八・二四%(六月十三日本紙既報)だが、二十八日エスタード紙の農業生産物は十二カ月で三七%値上がりの記事や、二十九日フォーリャ紙の学校給食のメニューから肉やフェイジョンが消えた他、それ以前の、一般家庭でも買物量を減らしより安い品を購入といった記事などから考えても、食料品高騰が生活扶助家庭を直撃していることは想像に難くない。
 さらに、学校が休みの間は給食がなく、子どもも家で食事するため、食費がかさむと案ずる親も多い。また、基礎食料品セットが四六・五五%も値上がりしたレシフェなどでは、八%の調整は焼け石に水に近い。
 また、ペルナンブコ州の生活扶助(平均八〇・三八レアル)では、州内平均一七四・七七レアルの基礎食料品セットの四五%の購買力(昨年五三%)しかないなど、扶助家庭では一般的に困窮度が増している。
 更に、生活扶助が母親名義で支給されるため、母親の発言力が増したり、離婚増加と、予想外の問題も出てきている。