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幅広い経済関係強化を=甘利経産大臣が来伯=現職大臣では24年ぶり=新幹線技術もPR

ニッケイ新聞 2008年7月1日付け

 甘利明経済産業大臣が六月二十七日からブラジルを訪問している。現職経産大臣の来伯は二十四年ぶり。滞伯中は製鉄、エタノール関係の視察のほか、バイオエタノール、貿易分野での協力に関する覚書の締結、大統領、外相ほか主要閣僚との会談を行なう予定。二十九日にサンパウロ市内で会見した甘利大臣は、移民百周年、日伯交流年を祝う今年を「二国間の経済関係を強化する絶好のチャンス」と位置付け、今回の訪問への意欲をあらわした。
 甘利大臣は着聖後、イビラプエラの開拓先没者慰霊碑、史料館などを訪問。日系団体関係者との懇談などを行ない、二十九日にはミナス州のウジミナス製鉄所を視察した。
 三十日にエタノール工場、砂糖キビ研究所を視察した後、サンパウロ州工業連盟(FIESP)を訪問。一日からブラジリアを訪れ、第二回閣僚級エタノールワーキンググループ会合に参加するほか、ロボン鉱山動力相、ミゲル開発商工相、ロウセフ官房長官ら関係閣僚、ルーラ大統領、アモリン外相との会談などを行なう予定。
 大臣は会見で、今回の訪問で目指す成果として「日伯企業のビジネス機会拡大」「資源エネルギー分野での協力強化」「グローバル課題解決に向けたブラジルとの連携強化」の三点を挙げた。
 投資円滑化を図るための官民貿易促進委員会、バイオエタノール分野に関する関係機関、民間団体との協力に関する覚書を締結するほか、鉄鋼分野での関係強化、気候変動問題など地球規模の課題への対応について関係閣僚と意見を交わす予定だ。
 植物繊維を使ったセルロース系エタノールの開発協力の可能性について現地メディアの質問に答え、森林破壊や食料価格高騰につながらないとして、今回のワーキンググループでも検討する意向を表した。
 一方でバイオエタノールの対日輸出の可能性については、安定した輸出体制と価格が前提条件と述べた。
 甘利大臣の発言は原子力発電所プラント技術での連携、高速鉄道などの分野にもおよんだ。なかでも新幹線については、一九六四年の運行開始以来無事故であることや、高低差のある地域でも安定した運行が可能なことなどを挙げ、日本の技術の優秀性を強調した。
 最後に大臣は、「日本にないものがブラジルにあり、ブラジルにないものが日本にある。両者が協力しないで誰と協力すればいいのか」と述べ、今後の両国経済緊密化に向けた意気込みを表した。