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セスタ・バジカ=下級労働者の台所を蝕む=北東伯で52%高騰=元凶はフェイジョンの185%=食糧インフレ鎮静の鍵は

ニッケイ新聞 2008年7月3日付け

 労組統計部(Dieese)は七月一日、食糧インフレの影響でブラジルでもセスタ・バジカ(生活必需品)が過去一年に北リオ・グランデ州のナタール市で五一・八五%まで高騰と発表したことを二日付けフォーリャ紙が報じた。続いてジョアン・ペッソア市、レシフェ市など北東部が顕著である。
 ハイパー・インフレの処世術を心得ている者には笑いが止まらないが、純朴な一般庶民には悪夢の再来が枕もとでささやかれている。世界的食糧インフレが、各家庭の台所へ侵入している。
 インフレは、下級労働者から攻める。食うために働く、しがない労働者の懐を蝕んでいる。Dieese調査は、北東伯地方が特に影響を被っていると報告。サンパウロ市やポルト・アレグレなどセスタ・バジカが高価な地方は、影響が少ない。
 同調査は給与調整が一桁のとき、セスタ・バジカは二桁高騰していると訴えた。一年前の最低給料の労働者は、セスタ・バジカ購入のため九十一時間働いていたが、現在は百十五時間働かなければならなくなった。
 最も深刻な影響を受けた北東伯は、主食のフェイジョン高騰が痛い。「北東伯ではフェイジョンが無ければ、代用食というわけにいかない」喫煙者からタバコを取り上げるようなものだ。
 フェイジョンの過去一年における高騰は、一八四・八%でインフレの元凶といえる。続いてトマトや食用油、米、肉など。フェイジョンは、換金性が高く需要が確定しているので投機の対象として狙われ易い。
 ブラジルでは、食糧インフレ即フェイジョン高騰といっても過言ではない。それではフェイジョンを増産すれば食料価格は安定するかといっても、そんなに単純でもない。そのカラクリは、政府官僚や経済学者にも分からない。
 小豆相場と同じで、フェイジョン投機というのがある。投機が犯罪かというのは金儲けは犯罪かというのと同じ。フェイジョンの消費量は一定している。供給量は産地の気象や銀行融資、前年度の市況で変化する。
 フェイジョンの供給量が消費量を少し上回るか不足気味なら、投機のチャンスだ。産地へ行ってフェイジョンを買い占め、隠蔽すれば暴騰する。フェイジョンは、ブラジル人の生命の糧であることがツケ目だ。