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先細る命の灯火を見つめ=なかなか進まぬ臓器移植=患者たちから悲痛な叫び

ニッケイ新聞 2008年7月3日付け

 ブラジルの臓器移植希望者は増大の一途だが、二日エスタード紙によれば、臓器移植手術中断が続いているリオ連邦大学付属病院で一日、約三十人の患者による抗議行動が行われた。
 「我々には生きる権利がある」、「この戦いは喪で終わらせてはならない」、「私は今死にたくない」などと書かれたプラカードを掲げた患者の中には、四年以上も手術待ちで、「いつも活発に動いていたのに、今は自分が使ったコーヒーカップさえ洗えない」という肝炎患者も混じる。
 その脇にいた二十三歳の女性は一年二カ月前に希望者リストに登録したが、「手術が実現するまで生きていられるかどうかさえわからない」という状況下で、病院が移植手術を中断。「本当に神経質になっている」という告白は、命の灯火が先細っていくことを日々実感している患者の共通の思いだろう。
 同病院で臓器移植手術を待つ患者は七百人を超えるが、移植手術中断後、手術を受けられずに死亡した患者は四月以降五人。提供される臓器不足が最大の問題の同病院だが、同じリオ市内で臓器移植手術を行う公立病院では、手術後のケアのため、専門スタッフと病床が必要だという。リオ市内で臓器移植手術を行うことができる病院は四つのみ。
 昨年の全国の肝臓移植は、サンパウロ州の四四四件を始め、九九七件。一昨年の一〇二五件には及ばないが、一九九七年の二二一件と比べ、大幅な伸び。
 一方、六月十四日フォーリャ紙によれば、一九九七年に一七五〇件行われた腎臓移植は二〇〇一年に三〇〇〇件を突破以来伸び悩み、昨年も三四〇七件に止まった。
 過去11年の統計によれば、ブラジルでの生体腎移植は死体腎移植を上回っており、交通事故や暴力事件の死者減少で移植用臓器摘出が困難になったことが、死体腎移植伸び悩みの原因だともいう。また、腎臓提供者の割合は徐々に増え、意識の高まりが見られるが、需要を満たすには不十分で、希望者の列がなくなることはありえない。
 六月二十二日エスタード紙には、人工透析は満杯状態で、サンパウロ市クリニカ病院では三交替制導入を検討中の記事。臓器移植だけが望みの綱という人々の戦いは続く。

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