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チエテ川サウト地区に泡=洗剤と水量減少が原因か=先進国入り出来ぬ水質管理

ニッケイ新聞 2008年7月4日付け

 年頭にはチエテ川浄化で魚復活と喜んでいたサンパウロ州ソロカバ地区の川面を分厚い泡が覆っている。二日付けエスタード紙によれば、泡の表面は黒く汚れ、ペットボトルなども浮遊。三日付けエスタード紙は、汚染物質濃縮化が原因だという。
 チエテ川の流水量は年間平均で一一六立方メートル/秒。雨の季節には一六〇立方メートル/秒になるが、雨が少ない季節は七〇立方メートル/秒まで減る。しかし、流れ込む生活廃水などは基本的に大きく変わらず、大サンパウロ市圏が吐き出す三五立方メートル/秒のうち、二〇立方メートルは未処理の汚水だという。
 そこで起きるのは、汚染物質の濃縮化。流水量が少ない時に生活廃水などが増え、流される汚染物質が増えれば、濃縮度はさらに高くなる。
 今回の泡復活の直接的原因は洗剤分の濃縮化。サンターナ・デ・パルナイーバで測定された洗剤濃度は一リットル当たり二・三グラム。一リットル当たり〇・五グラムで十分に泡立つ上、泡が復活したサウト市近辺のチエテ川水位はサンパウロ市より二三五メートル低く、高低差によって水に混じる空気が洗剤をより泡立たせたものと見られている。
 今回の泡復活で心配されるのは、魚などが生息できるかどうかだが、生物生息のためには水中酸素が四ミリグラム以上必要。二〇〇二年には〇~二ミリグラムだったソロカバ地区での酸素量は、今年四月には七・三ミリグラムまで改善していたが、五月は四ミリグラムに低下していたという。
 泡復活後の水中酸素は三日現在測定されていないが、本日予定のソロカバ地区チエテ川対策委員会会合には報告されると思われる。川面の泡は水質低下を意味するだけではなく、風で崩れ、市街地まで飛ばされた泡は、異臭の他、皮膚や目、鼻をひりひりさせる原因にもなる。
 また、六月二十七日付けエスタード紙には、汚染され、処理されていない水が原因の下痢や感染症による死者がブラジルでは年間二万八千人で、死亡原因の二・三%との記事。世界平均の六・三%よりは小さいが、先進国の〇・一%と比べると、まだまだ差は大きい。
 洗剤の種類や使い方、量を正しく判断することで防げる泡や、上下水道の整備によって避けうる死などにも、教育や政策などの問題が現れる。