ニッケイ新聞 2008年7月5日付け
晴れの日も雨の日も三十年――。ブラジルでのラジオ体操発足三十周年を記念した式典が六月十九日午後七時半からサンパウロ市議会貴賓室で行なわれた。
同式典は野村アウレリオ市議の提案により実施されたもの。同市議ほか、「ラジオ体操の日」制定に関わった神谷牛太郎市議など議会関係者、木下ジョルジ・ブラジルラジオ体操連盟(FERTBRA)会長、連盟関係者など百五十人ほどが出席。入戸野藤子さん(前武蔵野ラジオ体操連盟会長)など、日本からも関係者が訪れた。
ブラジルにおけるラジオ体操は一九七八年、リベルダーデ商工会に作られたラジオ体操部の二十数人がリベルダーデ広場で行なったのが始まり。日本でのラジオ体操は一九二八年の開始以来、今年で八十年になる。
式典冒頭に両国歌斉唱と先亡者への黙祷。あいさつに立った木下会長は移民百周年の年に三十周年の節目を祝えることを喜び、「日本移民がブラジルの発展に貢献したように、ラジオ体操がブラジル国民の健康増進に寄与してきた」と強調。指導のため幾度も来伯した入戸野さんや、ブラジル国内の支部・愛好者、さらに指導に尽力してきた技術部へ謝意を表した。
東京都ラジオ体操連盟の藤川藤次郎会長のメッセージも紹介された。藤川会長は「ブラジルでのランジオ体操発展を聞き、心から喜んでいる」と祝意を表し、「これからも世界の実施国と連携して活動を広めるため前進したい」とメッセージを寄せた。
来賓あいさつに続いて、市議会から入戸野さん、ラジオ体操連盟へ顕彰プレート、連盟から市議会関係者へ感謝状を贈呈。連盟からはこのほか、十年以上ラジオ体操に親しんでいる九十歳以上の愛好者八人、入戸野さんや技術部員へ感謝状と記念品が贈られた。
入戸野さんは八七年以来、今回が六度目の来伯。「こちらの皆さんは熱心で、日本の方が負けそうです」と話し、今回のオメナージェンに「本当に光栄です。やってきてよかった」と喜びを表した。
副会長の小野祥子技術部長も「皆さんから『痛いのが治った』『早起きが楽しい』といった声を聞くと、ラジオ体操の良さを感じますね」と話す。
高齢者の表彰を受けた松本善方さん(91)は、リベルダーデ広場で初めてラジオ体操を行なった時からの愛好者。以来毎朝続け、「休んだ事はない」という。「体操のおかげで風邪も引かないし、医者にもほとんど行きませんよ」と笑顔を見せた。