ニッケイ新聞 2008年7月5日付け
ブラジル日本移民史料館(栗原猛運営委員長)は三日夜、文協ビル九階の同館で、創立三十周年と移民百周年を記念した巡回写真展の開会式と百年史写真集の発刊記念会を同時に開催し、西林万寿夫在聖総領事ら来賓をはじめ、約百人が集まった。同史料館はブラジル日本文化福祉協会(上原幸啓会長)の一組織。
同館所蔵の膨大な写真の中から、百年間の移民の歴史を象徴するような百三十二枚の写真を厳選して九枚のパネルにしたもので、持ち運びが可能。
まずは同史料館に設置し、今月十八~二十日の県連・日本祭り会場、八月五~七日にサンパウロ大学・大阪大学共同シンポジウム(USP会場)でも展示される。その後、八月後半からモジ市に巡回する予定。
司会をした関根隆範同館運営委員が「皇室から心のこもった温かい御下賜金を頂いた。しっかり移民の記録を残しほしいとの、両陛下のお気持ちと拝察し、気を引き締めてご好意に応えたい。これを機会に新しい史料館の活動を始めます」と最初にのべた。
続いて、上原会長は「この巡回写真展は日本側ではJICAのご協力により、今年一年を通して百都市で開催される予定になっている。移民の軌跡を理解してもらう素晴らしい企画」と両国で同時開催される百周年記念事業との位置づけをのべ、「幅広いかたに見て頂き、日本移民の貢献を再確認してほしい」と語った。
巡回写真展、写真集ともに支援をした千坂平通JICAサンパウロ支所長も「百周年を機会に史料館は今一度原点に還り、今後三十年、五十年のビジョンを出して欲しい」と檄を送った。
ブラジル側での販売を始めたばかりの百年史別巻写真集『目で見る日本移民の百年』(風響社)を編纂した、百周年記念協会の日本語版百年史編纂委員会の森幸一委員長は「写真集は第一歩。今後、五年間かけて日本移民がブラジルに渡ってきた意味、どんな貢献があったかを調べ、複数の視点から五巻を出版していく」と説明した。
この写真集は四月に一万部が日本で印刷され、すでに半分以上が販売された。商船三井と日本通運の協力により、ブラジルには千六百冊が運ばれた。現在、七十レアルで各日系書店や同史料館で好評発売中。約二百五十枚の厳選された写真に日ポ両語の説明がついており、当日用意された約五十冊はその場で売り切れた。
栗原運営委員長は「来年ベレンで行われるアマゾン入植八十年祭まで巡回写真展は続きます。巡回展の受入を希望する日系団体は、当文協事務局(11・3208・1755)まで連絡をお願いしたい」と呼びかけた。