ニッケイ新聞 2008年7月5日付け
世界には温暖化や核拡散、原油と食糧の高騰など解決すべき難問が山積している。産業革命に始まる化石燃料は温暖化を招き、今世紀の末になると、地球の平均気温は6・5度上昇するの警告もあり、既に北極の氷塊は溶けているし、南太平洋の島嶼国では海水の浸食による危機が叫ばれてもいる▼北朝鮮とイランの核兵器もある。もう核5大国の時代は過去であり、インドやパキスタンを始めイスラエルも所持しているらしいし、核爆弾を望む声は高い。けれども、これを野放しにすれば平和は崩れ危険な嵐が吹き荒れるのは確実なので米を軸にした拡大阻止の声が高い。今、日本にブッシュ大統領ら8ヵ国首脳が集まっているのは、こうした課題にいかに取り組むべきか―話し合うためなのだ▼洞爺湖サミットは七日から九日まで開かれ、温暖化では米と英仏独や日本の考え方に食い違いがあり「二酸化炭素の排出量を2050年に半減する」で合意するのかどうか?である。これには排出が著しい中国とインドの合意も必要だし、なかなかに難しいが、なんとか一歩でも前進したい▼首脳会議の重要さもながら二国間の会談もある。福田首相はロシアのドベ―ジェフ大統領とも会談する。けれども、北方領土が大きく進展するのは無理だろうし、余り期待はしないほうがいい。と、ここで横道にそれ警備についてふれたい。北海道警察の本部長によると、首脳会議があるホテルなどに2万1000人の警察官を動員し厳戒態勢を敷くそうだが、こんなにテロが蔓延っている現状が寂しくも悲しい。今は唯―サミットが平穏のうちに幕を引いて欲しい。 (遯)