ニッケイ新聞 2008年7月8日付け
ニッケイ新聞編集部が移民の日特集号で企画した「コロニア人気人物アンケート」。編集部に寄せられたアンケートへの返答は約七十通、投票数は約二百五十票だった。
同アンケートは、移民百年の歴史の中で、日系社会のために尽くしてきた有名無名のコロニア人の名を後世に伝えることを目的におこなった。「この人がいたから今のコロニア、日系社会がある」と思われる人物の名前を五人ずつ、編集部まで寄せてほしいと、呼びかけたのだが、関心は弱く反応は鈍かった。
アンケートを呼びかけたのは、五月末ごろ。趣旨に賛同してもらった読者から、投票用紙が少しずつ届けられた。
しかし、六月前半ごろ、読者の一部の中から東京在住の〃ある資産家〃を推すキャンペーン(特定のことをおし進めるために運動すること)グループが現れた。その資産家とは、今回の人気アンケートの上位に入った天野鉄人さん(70)。リベルダーデに所有する土地の譲渡などをからめ、たびたびその存在と発言でコロニアを〃騒がせながらも〃、過去コロニア・ピニャールや弓場農場、サンパウロ市内(家屋は既存)に私財を投じて日本語図書館をつくる、などの貢献をした人物だ。ただ天野さんは厳密にはコロニアの人物ではない。
グループは、投票用紙をコピーし、天野さんはじめ、キャンペーンの中心になって活動した宮川頼周さん自身や、ジャクトグループ創業者で事業家の西村俊治さんの名前を投票するよう運動したことが判明した。
その結果、天野さんと宮川さん、西村さんが上位に入った。アンケートの趣旨がよく理解されなかったこともあるが、キャンペーンが行なわれたことは予想外だった。
今度の結果が当初の意図どおりになったとは到底いえないが、遠方から丁寧に一票を投じてくれた読者もたくさんいたため、複数票以上名前があがった人物を次に紹介したい。なお今回のアンケート実施にあたり、業績のあった人気人物ではなくて、嫌いな人物ならいくらでも書けるのに、といった声もあったが、それも一方の的を射ているかもしれない。
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天野鉄人(サンパウロ青年図書館理事)、宮川頼周(熱帯作物研究所所長・バイア州イツベラ)、西村俊治(ジャクトグループ創立者)、山本喜誉司(元東山企業代表、文協初代会長)、下元健吉(コチア産業組合創設の功労者)、宮坂国人(元ブラ拓指導者、元南米銀行副頭取、元文協会長)、渡辺マルガリーダ(救済会創立の功労者、元会長)、上塚周平(元皇国殖民会社現地代理人、自営移住地創設者)、中沢源一郎(元南伯農協理事長、元文協、援協会長)、中尾熊喜(元文協会長、有限会社コチアバタタ生産組合の設立役員)、田村幸重(元連邦下議)、高岡専太郎(ブラジル初の日本人医師)、清谷益次(歌人、椰子樹指導者)、橘富士雄(元南米銀行社長、元ブラジル日本商工会議所会頭)、竹中正(元援協会長、スポーツ振興貢献者)、多羅間鉄輔(元外交官、平野植民地やアリアンサ移住地の創設に尽力)、水野龍(元移民会社代表、笠戸丸移民送出者)、小林パウロ(元サンパウロ州州議、元連邦下議)、和井武一(元援協会長)、大武和三郎(ポ語辞典編さん者)、斉藤広志(元サンパウロ大学教授、元日本ブラジル交流協会初代事務局長)、池崎博文(リベルダーデ文化福祉協会会長)、細川晃史(リベルダーデ・ラジオ体操会会長)、木下ジョルジ(元ブラジル・ラジオ体操連盟会長)、中山実(ゲートボール団体関係者)、三宅茂子(不詳)。