ニッケイ新聞 2008年7月8日付け
「海外日系人に落語をきいてもらうのが大好き」という落語の師匠、ベテランの春風亭栄枝さんが、三日、着聖した。自称「落語大使」。すでに二十カ国を訪問している。今回はNPOチャレンジ・ブラジルの派遣。二十一日まで、マナウスを含む国内八都市をまわり、主として老人施設で「はなし」をする。九五年についで二度目の来伯。
師匠は、懸命に日本語を学び、日本文化を身につけようとする移民の子孫たちにいじらしさを感じ取り、大好きなようだ。ブラジルの僻地的なところで、そういう姿をみると、どうしても行ってあげなければ、といった気持ちにかられるようだ。苦労した年寄りには、なにはおいても、笑って喜んでほしい、という。
ノリがよさそうでない聴衆に対しては、必ずしも落語は語らない。四十分しか持ち時間がないとすれば、いかにその時間を有効に使うか、その場その場に応じ、臨機応変に場作りをする芸を持っている。
落語家歴五十一年、もうすぐ七十歳。身のこなしも含めて、とてもそうは見えない。