ニッケイ新聞 2008年7月11日付け
日本の大手レコード会社に所属し、歌手として新人アーティストの歌唱指導などを手掛ける小野寺マキさん(35・東京在住)が二日、来伯した。マキさんは、ブラジル柔道選抜チームの監督を務め、〇三年に亡くなった小野寺郁夫さんの姪。日本で郁夫さんについて綴った書物を読んで大きな感銘を受け、以前から来伯を望んでいた。
三年ほど前、ある接骨院で医療事故に遭った。大好きな歌が十分に歌えなくなったことに加えて、最愛の祖父の死なども重なり「かなり辛い時期を過ごした」と振り返る。
昨年末、先輩歌手の広瀬香美さんのコンサートに勇気付けられて「心から人のために歌いたいと思った」。今年になって症状もよくなり、ようやく前向きに大好きな歌をうたえるようになった。
今月十五日まで従兄弟にあたる郁夫さんの息子、娘の家に滞在。今月十四日(月)、出身地の宮城県人会が創立五十五周年記念式典をおこなうにあたり、童謡や戦後の流行曲などを会場で披露する予定だ。
「自分の歌で人を癒したい」とマキさん。自身の障害を乗り越え、尊敬する伯父が暮らしたブラジルを訪れることができた喜びを実感している。