ニッケイ新聞 2008年7月12日付け
「金にもならないのに毎年来るなんてなかなかできないよ。その心意気をコロニアは大切にしなくてはいけないね」――。演歌歌手の井上祐見さんについて、根っからの芸人の丹下セツ子さんはそうしみじみと語る。
十年間で訪れた南米での公演地は、百を超える。これには〃慰問〃の類は含まれていないという。総移動距離はなんと累計約三十万キロ。世界で一番移動している演歌歌手に違いない。
「あなたに出逢えてよかった」。祐見さんのキャッチフレーズにこうある。十年にもわたりコロニアで愛され続けるのも、彼女の真摯な姿勢に加えて、小さな一つ一つの縁を積み重ねてきた結果にあるようだ。
〃日系コロニアが育てた歌手〃と自他ともに認める異質の歌手。移民百周年を機に、ブラジルだけでなく日本、世界各地で活躍する歌手になってほしい。(泰)