ニッケイ新聞 2008年7月12日付け
安倍晋三前首相がG8サミットは洞爺湖近くのホテルで開くと決めたときには、あんな田舎で?と訝った。付近には昭和新山や羊蹄山があり観光名所だが、世界の首脳が知恵を出し合う会場としては如何なものかーと思ったのだが、なかなかどうしてあんなに立派なホテルがあるとはまったく知らなかった▼ブッシュ大統領は8回目、伊はベルルスコーニ首相が7回の古参で露のべドベージェフ大統領と福田首相は初めてと出席者は多彩な顔ぶれながら討議の議題は難問が多かった。原油高騰は天井知らずで食糧不足の深刻さは酷い。と、この地球には解決すべき問題がいっぱいある。なかでも重要なのは、温暖化対策であり、温室効果ガスの削減をどうするか?に焦点が絞られG8と新興国の対立も目立った▼この洞爺湖サミットで注目されたのは、ルーラ大統領もだし中国とインドなど新興国の主張をどこまで認めるかーにあった。温室ガスについても、途上国は、先進国は1990年代に比べ80―95%削減をと厳しい。何しろ、北海道に集まった国々だけでガス排出量は世界全体の80%に達するのだから各国首脳の意見や論調もなまはんかさは微塵もない▼と、議論は白熱したけれども、G8が「2050年に世界の排出量を半減させる」で合意したのは、評価したい。勿論、長期目標の数値を盛り込めなかったへの批判はある。これはG8と新興国の考え方の溝が深かったことに起因するものであるし、この難しい課題の解決には、中国やインドなどの新興国の協力がなければ、ガス削減の実現はできないと理解したい。 (遯)