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衛星気象観測始まる=科学的根拠で未来予測を

ニッケイ新聞 2008年7月16日付け

 政府は十四日、石油化学産業から上がる利益の六%で環境基金を立ち上げ、国内の地球温暖化対策に充当と決めたことを十五日付けフォーリャ紙が報じた。これまで同資金は、原油の試掘や海洋の汚染、パイプラインの破損に使われた。
 同基金は、金額にして三億レアル。海洋事故が発生すれば応急措置を行うが、それは二〇%で間に合う。六〇%は優先的に温暖化対策へ充当され、ブラジルの気象変化や海洋の水位変化と影響を観測する。
 ブラジルは世界の五大炭酸ガス排出国に入る。法令アマゾンの森林伐採やそれに伴う山焼きによる炭酸ガス排出は、ブラジルの炭酸ガス総排出量の三分の二を占める。現在のブラジルは炭酸ガスの削減目標を課されていないが、アマゾンの森林保護や気象変化は世界中の関心を集めてもいる。
 宇宙調査研究所(Inpe)は二〇〇九年、三千五百万レアルを投じてスーパーコンピューターを設置し、千三百万レアルで付帯設備を購入、衛星情報を受信する。ブラジルは温暖化対策が遅れ、経済活動へ支障を来たしている。
 ブラジルの気象観測は、六カ月先しか分からない。それを三十年先、五十年先まで観測し、政治や地政学に活用する。世界には二十カ所の宇宙観測センターがあり、十年毎の大気や海洋、オゾン、炭酸ガス、植物生態系の未来シミュレーションを行っている。
 ブラジルも遅ればせながら二十カ国の宇宙観測に仲間入りし、森林伐採によるアマゾンの変化や全土の植物生態系の様子、山焼きの影響がもたらすブラジルの未来を予測する。