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歌の親善大使=吉武まつ子さん=近く来伯公演=「日本祭り」でも=幅広い音楽活動=〃弱者〃にあたたかく

ニッケイ新聞 2008年7月16日付け

 【東京支社=藤崎康夫支社長】「彩の国埼玉親善大使」「掛川市ふるさと親善大使」「ふじのくに静岡大使」「童謡のふる里おおとね大使」として「日本の歌」を通し、国際親善に活躍する吉武まつ子さんが、日伯交流年(〇八年)の七月十七日、ブラジルに向かう。幅広い音楽活動を行なっている。要請があり、その意義を認めれば、快く受け、無料公演に出向く異色の歌手だ。これまではペルーとの縁が深い。
 吉武さんは東京芸術大学声楽科卒。静岡県出身で埼玉県在住。日本歌曲、モノオペラ(かたりを中心に活動)、クラシック、ミュージカル、ポピュラーなど幅広い音楽で、これまで欧米、中南米、アジアの各国で公演し、国際親善という大きな役割を果たしてきた。
 一九九七年、前年の暮「ペルー大使館人質事件」が起き、苦境の最中にあったペルーから一時帰国中の幼稚園経営者大森雅人さんは、吉武さんの歌を聞き、「ぜひ、一世や二世の人たちに聞かせたい」と日系団体関係者に働きかけた。
 これを機に一九九九年の「ペルー日系移民百周年記念式」に合わせ、吉武さんの公演が実現した。吉武さんはその後もペルーを訪ねて、幼稚園や孤児院、老人ホームなどで無料公演を重ねて、また両国の親善につとめてきた。
 「ペルー移民百周年式典ときでした。参列されていたブラジル日系団体の方から、ブラジルでも歌ってほしい、と声をかけられました。昨年、たまたま知人の画家がサンパウロで開く展覧会のオープニングに招かれたのを機にブラジル訪問が実現し、そして今回、ブラジル移民百周年の記念する年に再びブラジルで公演することになりました」と語る。
 七月十七日、日本を発ち、十九日「サンパウロ第十一回フェスティバル・ド・ジャポン」に出演。二十日、イビウナ・コンドミニオ自治会館で「日本人ブラジル移住百周年記念コンサート」、二十二日、パラナ州ローランジャ「日本の歌・コンサート」、七月二十五日パラナ州マリンガ市主催「日本の歌コンサート」、二十六日ローランジア・仏心寺『日本の歌』コンサートを開き、二十八日に帰国の途につく。
 「スケジュールが詰まっていますが、七月二十七日、ローランジアからサンパウロに向かう途中でも「憩の園」に立ち寄り、皆様の前で歌えないものでしょうか。皆様の前で、ぜひ、歌いたい、と思っています。それが私の大事なつとめだと思っていますので……」と吉武さんは語った。