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パラグアイ=〃万宝の森〃が誕生=イグアスー移住地に新名所

ニッケイ新聞 2008年7月16日付け

 パラグアイにおける不耕起栽培の発祥地、遺伝子組み換えでない人体にやさしい〃オーロラ〃などの大豆の主要生産地、はたまた、本格的な和太鼓の生産地、などとして知名度の高いイグアスー移住地でもう一つの新名所が誕生した。「万宝の森」だ。二〇〇七年八月二十二日に入植四十六周年を記念して、日本人会(公文義雄会長、高知県出身)が移住者に呼びかけて、家族そろって植えた一千本の苗木(本紙、〇七年八月二十八日報道)がその後の天候にも恵まれて順調に育っている。
 この森の呼び名を統一しようと名称案を公募したところ、環境保護意識の高まりと相まって多くの案が日本人会に寄せられた。その案の審査を委託された自然環境保護委員会(竹内一郎委員長)が検討した結果、北海道出身の妻沼信明さんが提案した「万宝の森」に決定した。〃万宝〃とは多くの宝、貴重な宝、という意味を持つ。
 イグアスー移住地では毎月のように、国内外からの旅行者が進んで植林をする姿が目立つようになってきている。日本人会ではそのための土地を用意して対応している。苗木は日本人会所有の育苗センターで育てられている。
 この育苗センターは日本経団連自然保護基金の助成を受けて建設されたものであるが、増え続ける需要に対応するために拡張が進んでおり、現時点で約十万本の苗木が揃っている。樹種も多様だ。植えた人には日本人会会長と自然環境保護委員長連署の植樹証明書も発行されている。
 〃第二岩手の森〃も誕生。六月に訪伯した達増拓也知事が移住地まで足を伸ばして、地元の岩手県出身者一同(菅原祐助会長)と一緒に植林を行い、〃第二〃を誕生させた。
 南部利昭さん(靖国神社宮司)を団長とする岩手県親善交流団もこの森に木を植えた(第一)。岩手の森にはアルゼンチンに移住している同県出身者も植林をしている。また、半世紀前にオランダ船籍のルイス号に乗ってブラジルとパラグアイに移住してきた同船者五十名が、六月下旬に移住地に集まって〃ルイス号同船者の森〃を立ち上げた。この音頭をとったのはイグアスー太鼓工房棟梁の石井吉信さん(山形県)だ。
 これらを含めて、今年六月までに(順不同)、交流の森、友情の森、子供の森、青年の森、鶴寿の森(地元老人会)、寿会の森(首都アスンシオン老人会)、太鼓の森、経団連の森、愛媛の森、東芝の森、が次々と誕生しており、大森小森連鎖現象で点から面に広がりを見せている。
 二〇〇九年一月中旬には、日本から経団連自然保護協議会の植林視察団の移住地訪問が決まっているほど、イグアスー・イニシアチブは日本でも注目を集めつつある。独立行政法人・日本万国博覧会記念機構の助成を受けたイグアス日本「匠」センターの工事も順調に進んでおり、十月には完成する見込みという。名所がもうひとつ増えそうだ。