ニッケイ新聞 2008年7月17日付け
最高裁のメンデス長官は十五日、連邦警察や判事、検事、議員、官僚、閣僚による越権行為の排除を徹底することで、ルーラ大統領の支持を得たと十六日付けエスタード紙が報じた。越権行為の取り締まりは最高裁だけの役目でなく、大統領府も責任の一端を負うことになった。
ルーラ大統領とジェンロ法相、メンデス長官の面責は十五日夜、プラナウト宮で行われた。越権行為の目付役は、これまで最高裁であった。
会合を設定したのは、ジョビン国防相。国防相は事前に上院議長と下院議長に会い、盗聴と手錠、拘束、弁護士の権限範囲、国選弁護士などについて法整備の必要を説いた。
これまで検事や検察が不都合な訴訟を机の引出しに押し込み、棄却する例が多かった。これも越権行為と見なされる。
連警のサチアグラハ作戦で一週間にわたって火花を散らした法相と最高裁長官の間は、ヨリを戻したようだ。国防相が最高裁長官であったとき提案した「共和制下の司法制度」を適用し、丸く治めたので国防相の労いといえそうだ。
これまで国税庁を始め、裁判所や検察庁などの目に余る越権行為で多くの国民や企業が被害を被っている。これらの被害は当然、政府に対し損害賠償を要求する権利があるはずだ。
現行の越権行為に関する法令四八九八号は軍政下の一九六五年に制定され、内容は多岐にわたる。軍政終焉後の現在も、拘束や家宅捜査、器物没収、私信開封、基本的人権侵害などの越権行為が罷り通っている。
連警の越権行為では、囮作戦やヤラセ、罠などの是非が問われている。高度の捜査になると、連警が証拠物件収集のため、常識では理解し難い作戦を講じるので、法相は理解を求めた。
最高裁は、手錠の使用と弁護士の権限について規定を設ける法令草案を議会へ提出する考えだ。手錠の使用は現在、治安当局の判断に任され、規定を定めた法令はない。そのため往々に、ショー的行為が頻発する。