ニッケイ新聞 2008年7月17日付け
ブラジルでサービス産業への所得分配と社会的地位の向上が始まったとル・モンド・ディプロマティック七月号が報じた。これまでの製造高度技術という概念が、知的高度技術と入れ替わった。この現象は社会階層にも現れている。これからの労働概念は塗り替えられ、ブラジルが変わるという。
モノ生産の技術が一レアルを生産する間に、サービスは九レアルを生産する。この差は、GDP(国内総生産)にも反映する。一九五〇年は、モノの製造が五レアル生産したとき、サービスは四レアルであった。
これは労働概念の変化である。これからもモノ造り労働は、サービスに水を明けられる。所得格差も社会格差も広がる。労働の価値判断が、異なりつつある。これが脱工業化社会である。同時に労働の形式も資本の流れも、激変する。
金持ちになるプロセスやシステムも変わる。GDPに占めるサービスの割合も増える。GDPの内容は、従来の肉体労働をも伴った生産からサービスの知的労働へ変わりつつある。
サービス産業は、インフラや技術、電子工学に幅広くたゆまぬ設備投資が必要である。これが、これからの価値の創造である。知的産業が工業生産よりも無限の富を生み出す源泉といえる。これからの労働者は、三人に一人が従来型労働に就き貧乏くじを引く。
サービス産業の需要は、時代の脚光を浴びて豊かな投資を得ながら高等教育と技術研修のチャンスを与えられる。従来型労働は出身校やレベルの制約を受けながら、職種や勤務場所で選択肢が狭められる。
従来型労働では、生い立ちによって教育の機会が決まった。これが工業社会の宿命みたいなものだ。六十歳を肉体労働の限界として活動期間と非活動期間が、知的労働とは大きく異なるようになる。