ニッケイ新聞 2008年7月24日付け
霧雨期待の今日、明日だが、サンパウロ市では一カ月以上雨なし。人の営みが異常乾燥を招いたようだが、雨のない七月は二十三年ぶりだという。
二十二日伯字紙によれば、サンパウロ州の七月の平均降水量は約四十ミリだが、昨日まで雨なしの今年は、二十一日にヴォツポランガやサンパウロ市のカペラ・ド・ソコーロで一五%と一六%記録など、各地の湿度が三〇%以下。
気象予報官によれば、この異常乾燥は太平洋の海水温上昇が原因。サンパウロ市での雷増加も同じ原因だが、気がかりなのは、呼吸器疾患などの増加と、貯水池の水位低下、大気汚染、火災発生など。
呼吸器疾患については、子ども中心に救急外来患者が例年比三〇~五〇%増加。例年は休暇で子どもの外来数が減る時期の患者増が、乾燥による疾患増を裏付ける。また、眼科も四月比三〇%の患者増。ドライアイ、疲れ目、かゆみ、かすれ目などが多いという。
大気汚染については、サンパウロ市上空のスモッグがテレビ放映された他、汚染物質濃度が高まったクバトンなどで適正値を超えたとの報告が出ている。
乾燥による延焼と煙害を防ぐため、焼畑を禁止した地域もある。全国的に見ると、サンパウロ州の一一市など、南東伯や中西伯の三六市町村は少なくとも二カ月間降雨がなく、火災発生の危険あり。四十日以上降雨のない市町村も六二あるという。
貯水池については、二十二日エスタード紙が大サンパウロ市圏の六貯水池では水位が低下しているが節水対策必要なし、と報じた直後の二十三日に、グアルジャーなどで断水。散水など、水の使用量は増加傾向にあるともいう。
その他、農家が種の蒔き付け延期などの影響も出ているが、二十三日エスタード紙には、サンパウロ州西端部のロザナで、乾燥のため餌がなくなり、森に住むサルが町に出てきたとの報。ごみをあさる他、人家に入り冷蔵庫を開けたり、人から食べ物をもらったりするサルもいるようだが、ダム建設で住みかを失ったサルの移動で餌不足に拍車。生物学者は、市街地でのサルの生態は本来の姿ではなく、別の場所に移動させる必要があるという。
大気中の二酸化炭素濃度上昇や汚染物質流入などが招く海水温上昇やダム建設。これに農薬や重金属入りの水や火事が加われば、人の命も危うくなってくる。