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日系軍警将校に感謝捧げる=サンパウロ市=百周年を機に50人顕彰=「市民生活の安全を保証」=6団体が記念メダル授与

ニッケイ新聞 2008年7月26日付け

 ブラジル日本文化福祉協会(上原幸啓会長)やインスチツート・パウロ小林など六団体が主催する日系軍警将校顕彰セレモニーが二十四日夜、文協貴賓室で行われ、家族や友人・同僚ら百人以上が慶祝にあつまる中、大佐(コロネル)などの将校ら五十人に記念メダルと感謝状が渡された。上原会長は百周年の機会にこの機会が持たれたことを喜び、「みなさんのおかげで市民生活の安全が保証されている。心から感謝したい」と礼をのべた。
 「日本の思想哲学は日系の士官学校教官や同僚などを通じて、軍警全体に強い影響を与えている」。サンパウロ州軍警のダニエル・バルボーザ・ロドリゲイロ副総司令官はそう顕彰し、「すべての日系兄弟に感謝する」とのべた。副総司令官によれば、サンパウロ州軍警には九万三千人が所属し、南米第三位の陣容を誇る。うち九百人が日系人だという。
 サンパウロ州知事の護衛、州知事官邸の警備の重責を担当するカーザ・ミリタールの司令官、キタ・マサオ・ルイス大佐も挨拶にたち、「コロネルになることは、日系人としてとても名誉なことだと感じる」とし、「ここにいる諸先輩が見せてくれた先例に従う」と語った。
 最後に軍警らしく、「みなさんのミッソン(使命)はベン・コンプリーダ(見事に達成された)だ」と力強くのべ、拍手をあびた。
 連邦高等裁判所の上田雅三判事も祝辞にたち、九三年から二年間、軍警士官学校で教鞭をとった経験を「むしろ、私の方が多くのことを学んだ」と振り返り、「この百周年は日系だけでなく、すべての民族への慶祝である。今この時、二百周年への一歩を踏み出している」とした。
 そのほか、上原文協会長、清水俊昭領事らも祝辞をのべた。
 五十人の軍警退役将校らに壇上で、順々に記念メダルと表彰状が渡された。その後、カクテルパーティになり、家族らと感激を共有した。
 五一年に士官学校に入学した西礼三さん(77、二世)=バストス生まれ=は、日系として初めて大佐に昇進したベテランだ。日本からの要人が来るたびに武官に任命され、三笠宮殿下に始まり、両陛下二回、首相クラスの重要政治家(吉田茂、岸信介、田中角栄、鈴木善幸ら四氏)、県知事、宗教指導者などの名だたる要人警護の任に当たってきた。
 西氏は「天皇陛下から三十年間、年賀状を頂いている。今回の皇太子殿下ご来伯に関係して、日本の全国紙全てから取材を受けたよ」と笑う。
 今回、皇太子殿下からも直接、「両陛下からよろしく」とのお言葉も頂き、「本当にうれしかった」と感激した様子。
 女性として、初めて大佐に昇進したのは吉田勢津子さん(67、二世)=サントアンドレー生まれ=で、六二年に士官学校入学。「女が警察になるなんてって、最初はまわりがみんな反対した」というが、三十年間勤め、九一年見事に大佐になり、定年退職した。
 「まわりは男性ばっかり。とても難しかったし、危険な目にもあった」と充実した日々を振りかえる。
 吉田さんは「こんなに立派なセレモニーとは知らなかった。メダルまでもらってびっくり。とても嬉しい」と微笑んだ。
 インスチツート・パウロ小林の発案により、文協、サンパウロ商業協会、リベルダーデ文化福祉協会、百周年協会、リベルダーデ保安協会が共催した。