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どこかが違うMST大学=入植者向けの特別講座=高等教育はすべての人に

ニッケイ新聞 2008年7月29日付け

 多民族、多文化のブラジルは、歴史や文化の違い受容とともに、教育のあり方にも多くの論議を呼びつつ前進してきた。
 例えば、二十七日エスタード紙の土地なし農民運動関連の大学問題。土地なし農民が農業改革の一端として提供地に入植する中、最初に生じた教育問題は校舎や教師の不足だった。そこで、国立植民農地改革院(Incra)は、学校建設とともに、高等教育の必要にも直面。一九九八年の農地改革での国家教育計画(Pronera)発足後、既存の公立大学との提携や、独自の資金で開設された大学での高等教育が始まり、卒業生も送り出されて来た。
 入植者向け教育の初期は識字教育や基礎教育や、農業の専門知識拡充が求められ、Incraは二〇〇三年に九〇〇万レアルの教育関連予算を投じ、基礎教育の充実とともに、教育学の分野で入植者向けの高等教育特別コースを開設した。
 一三の大学の入植者向け教育学講座入学者は九二二人。その対象は年毎に広がり、今年は農学部から法学部まで四九の講座で三六四九人が学んでいる。今年のIncraの教育予算は五四〇〇万レアルで、内二九〇〇万レアルが高等教育向け。
 この入植者向け講座の特徴は、出身入植地から推薦を受けIncra発行の証明書を持つ者のみが対象、能力判定のためのコンクールのみで入試がない、寮制で三〇〇レアルの支給を受ける、農業カレンダーを配慮した独自カリキュラムなど。
 ただ、世間一般では、卒業生が植民地に戻る保証がないことや、入植者を特別扱いにすること、また、講座内容が法学などにも拡大されたことなどへの疑問の声もある。また、今年開講予定の獣医学講座が、入植者だけ特別扱いだと訴えられて遅れているなど、人種枠や公立学校出身者枠などの大学特別枠の問題同様に様々な論議がある。
 人種や出身学校別の大学特別枠を定員の五〇%に広げる法案も国会提出されているブラジル。「経済的に恵まれ、私立校や予備校で準備して大学受験に臨む人こそ特別だ」という入植者向け講座出身の教育学者の言葉が、国の現状を表している。
 高校不足で、高校進学のため入植地を離れる青年も多く、高校教育と大学卒業生の呼寄せを課題とする中、一日にはセルジッピ連邦大学農業技術コースで入植者五四人の卒業式が行われる。

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