ニッケイ新聞 2008年7月30日付け
二十七日からの伯字紙が、リオのファヴェーラでの選挙戦で、麻薬密売者やミリシアと呼ばれる警官や消防士、犯罪者らによる武装集団が妨害行為と、連日報じている。
リオのファヴェーラの多くは、密売者組織支配地域とミリシアの支配地域に大別される。両組織の地域住民への影響力は絶大だが、地域候補以外の立ち入り禁止や、報道関係者脅迫など、選挙の行方にも影響を及ぼしかねない行為が選挙裁判所にも届けられており、対応が急がれている。
候補者への活動妨害の一例は、これまでは自由通行だった地区に入れなかったイングリッジ氏。先週訪問したロッシニャ地区は、当局の捜査対象で候補資格取り消しの可能性もあるクラウジーニョを全面支援と決まっている。その他、有権者に投票してくれと頼むなと脅迫された例もある。
一般に、犯罪者組織の支配地域立ち入りは組織の了解が必要といわれるが、アレモン地区のように、候補者歓迎の横断幕をかける所がある一方、有権者との会話にも危険が伴う地域もある。
また、二十六日にファヴェーラを訪問した市長候補の挨拶を受けた密売者が、取材の報道関係者を脅し映像を消去させた(昨日東西欄で候補者が脅したとあったのは間違い。訂正します)のも報道の自由への挑戦と見られ、候補者が自由に訪問する権利や報道関係者が取材する権利の侵害は深刻な問題と報じられた。
各方面からの問題指摘の中、対応を迫られたリオ選挙裁判所は、州知事からの、必要に応じ警察力増強の約束を得た他、高等選挙裁判所長官、法相らとも話合う予定。治安部隊が見張りをしているアレモン地区など、軍が動いている所もあり、連邦警察や軍による警備体制を敷くことで、妨害行為を排除し、選挙の安全を図る可能性もある。
ミリシア「リーガ・ダ・ジュスチッサ」では、首領格のギマラエンス兄弟(下院議員と州議員)が十二月と今月二十二日に逮捕されたが、二十四日フォーリャ紙には、このグループ支配地域の一~四月の殺人は二六・八%、行方不明も一七・四%減の報。他のミリシアへの当局の対応が期待されている。
リオ市のミリシア支配下共同体は七〇以上とされる中、公正で安全な選挙確保への戦いは避けて通れない問題といえる。