ニッケイ新聞 2008年7月30日付け
国際協力機構(JICA)が、二〇〇九年度「日系社会リーダー育成事業」の応募を八月一日から受け付ける。同事業は、将来の日系社会を担いうるリーダーを育成することを目的に、ブラジルをはじめ中南米十一カ国を対象に十四人を募集、日本の大学院へ留学するための滞在費・学費などを支給するもの。
二〇〇〇年から始まったこの奨学金制度は、ブラジルから毎年約四人を日本へ送り出している。二〇〇三年から二年間、東京大学工学部社会基盤学学科博士課程にこの制度を利用して行った、OBの土屋健二アレシャンドレさん(28・二世)に話をきいた。
サンパウロ大学で電気エネルギー工学を学んだ後「日本に一度住みたい」と思っていた土屋さんにとって、この制度は大きなチャンスだった。日本では、大学院で工学を学んだだけでなく、他の国に住むという貴重な経験、特に自分のルーツである日本で様々なことを体感し、吸収できたと言う。
「自分はブラジル人、ということを痛感した。実際に体験しないと理解できないことがたくさんある。それを自分はでき、得たものは計り知れない」。土屋さんはそう語る。正反対の価値観を知って、自分の世界が広がったそうだ。
土屋さんはブラジル帰国後、国際協力銀行(JBIC)のリオ事務所で二年間働き、現在はKEY Associadosという会社でプロジェクトマネージャとして、排出ガス権のコンサルティング業務で活躍している。
未来の後輩に対して「とにかくやってみましょう。そこから始まります」と応募を呼びかけた。
同制度の応募資格は、大学卒業者で日本の大学院へ在学中、もしくは入学・留学の内諾を取り付けている者。年齢満四十歳未満。ブラジル国籍者。日本語能力が十分な者、など。
手当ての内容は、渡航費、滞在費月額十七万円、学費など。原則二年間支給される。選考日程は、九月三十日応募締め切り。十月中旬第一次選考、十月下旬最終選考、十一月中旬合否通知。
まずは下記まで応募書類を請求のこと。JICAサンパウロ支所(Av,Paulista37-1.andar)電話(11・3251・2655)FAX(3251・1321)担当=寺尾、柏木まで。(E-mail)jicabrsp-gyomu@jica.go.br