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セアラー州=カノア建設プロジェクト担う=教育センター無事完成=安藤さん任期終え帰国=地元の青年ら自主運営

ニッケイ新聞 2008年7月31日付け

 北東伯セアラー州のカノア・ケブラーダ地区に地域住民のための多目的教育センターを建設するプロジェクトで、現地担当者として来伯した安藤将さん(38、東京)が先月末、十一カ月間の滞在を終えて帰国した。センター建設とともに、地域の人材育成、経済的自立まで視野に入れた同プロジェクト。その土台作りに奔走した一年間を振り返ってもらった。
 「カノア・ケブラーダ多目的教育センター建設・教育者養成プロジェクト」は、日本のNGO団体「CRI~チルドレンズ・リソース・インターナショナル」が郵政公社の国際ボランティア貯金の助成を受けて実施するもの。三年計画で、安藤さんは第一次プロジェクトの担当者として昨年八月に来伯。現地で保育園を経営する鈴木麻由美さんらとともにプロジェクトに当たった。
 センター建設地の同州アラカチ市カノア・ケブラーダ地区エステバン村は人口三百人ほどの漁村。同村は州の保護区として土地売買が禁止されているが、周辺の村で進む観光地化にともないドラッグや性産業などの問題が入り込みつつある。
 同プロジェクトは都市化と貨幣経済の浸透への備えのない地域住民のためにセンターを建設し、子供たちの教育や、指導者の育成をめざして始まった。
 「ゼロからのスタートでした」と振り返る安藤さん。今年四月に完成したセンターは、面積二百五十平方メートルの平屋建てに、会議室や診療所、台所などを備えており、地元の青年男女約二十人による委員会が運営にあたっている。
 さらに、アラカチ市内の本屋まで百六十キロ離れていることをふまえて、図書室を五月に開設した。それ以来「子供たちに本を管理する意識が育ってきた」という。
 もう一つの柱である教育者養成については、サンパウロのモンテ・アズール住民協会のウテ・クレマー会長などサンパウロからも講師を招いて講座を開催。その一つの木工講座では、その後地元の青年がモンテ・アズールで研修し、現在同センターで週に一度住民たちに教えている。
 同センターではこのほかにも、実験農園やパン作り講座、日本語・英語講座なども実施している。
 「工房で作った家具や、土産物の販売を通じて村が経済的に自立し、若者たちも参加して文化講座や授業が運営されていくのが理想」と安藤さんは期待を寄せる。
 第二次プロジェクトでは、木工工房の継続に加え、地域の教育者に対する講座や、親に対する衛生・栄養講座なども行なっていく予定だという。
 帰国後は再びCRIの活動に携わるという安藤さん。「皆によくしてもらい、過ごしやすい一年でした。帰国後も日本から陰ながらサポートしたい」と日に焼けた顔に笑顔を浮かべた。