ニッケイ新聞 2008年8月2日付け
活きた史料館への再出発――。ブラジル日本文化福祉協会は、日本移民史料館の八階部分を改修、初代館長だった斉藤広志博士の名前を冠した展示スペース『斉藤広志特別展示室』を先月三十一日、オープンした。史料館創設三十周年記念事業。今年創立五十周年を迎えた「ブラジル富士フィルム」(前田保知社長)が協力した。栗原猛・同史料館運営委員長は、「史料館だけの利用に留まらず、茶・華道や各県人会にも利用してもらいたい」と話し、日本文化全般を紹介する展示を行なっていく考えだ。現在「ブラジル日本移民百周年記念写真展」が開催されている(九月中旬まで)。
同展示室がオープンした史料館八階のスペースは、一九七八年の開設当時、展示室として活用されていたが、使用頻度の減少に伴い、資料の保管倉庫となっていた。
史料館創立三十周年を機に「本来の形に」という声が上がり、記念事業として計画、ブラジル富士フィルムの支援を得て実現した。
オープニングイベントとして、現在開催されている「ブラジル日本移民写真展」の写真パネル五十枚の作成も同社が協力した。
先月三十一日午後七時からあった開所式には、約四十人が集まり、多羅間俊彦・文協副会長は、「史料館創設当時の基本姿勢である〃活きた史料館〃を目指し、特別展示室の大いなる活用を期待したい」とあいさつ。続けて、在サンパウロ総領事館の後藤猛領事が祝辞を述べた。
ブラジル富士フィルムの前田社長は、「意義のある事業に協力できたことを嬉しく思う」とし、移民の写真が残っていること、日系の写真屋が多いことに触れ、「ブラジルにおける写真の普及に日本人が貢献している」と話した。
九階部分に会場を移して行なわれたカクテルパーティーでは、田中信・ブラジル日本商工会議所会頭が乾杯の音頭を取り、来場者らは歓談を楽しんでいた。
展示室や写真展に関する詳細は、ブラジル日本移民史料館(電話=11・3209・5465)まで。