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通路に並ぶ患者用ベッド=現状変わらぬクリニカ病院=ガン研究所などと提携図る

ニッケイ新聞 2008年8月6日付け

 飲酒運転禁止法施行で交通事故被害者は減少中だが、サンパウロ総合大(USP)医学部付属のクリニカ病院(HC)の救急外来では、病棟通路で入院処置となっている患者が後を絶たない。
 二日エスタード紙によると、七月にHCを訪れた同紙記者が確認した通路の入院患者用ベッドは四十台余り。昨年八月の改善公約後一年になるが、救急病棟内部は見かけ上変化なしという。
 ただ、〇七年五月には一日平均六三五人だった救急外来患者は、今年五月には平均三七〇人と大幅に減少。これは、担当地域外からの患者を症状別に分け、軽症者は居住地の市立病院や救急病院、保健所に紹介、それ以外は紹介状持参患者のみを受容れているため。
 しかし、患者数が減っても紹介状持参の患者や地域の救急患者の受容れは変わらないため、全体的に症状の重い患者の割合が増え、観察入院を含む入院処置が必要な患者は一日平均三六~四〇人のまま。五〇床しかない収容能力を超えている。
 HC管理部門のテイシェイラ氏はこの現状は十月までには改善できると約束するが、改善が遅れた最大の理由は、救急病棟内に予定されていた三五床の増設が、契約会社側の問題で遅れているため。また、救急車両で搬入される外傷患者受容れ場所の工事は、メドすら立っていないという。
 同氏によれば、HC救急外来で要入院と判断された患者受容れは、救急病棟とHCの他の部門などを合わせ、約三〇〇床までOKだが、それでも末期ガンや神経内科、腎臓科の患者用病床確保は容易ではないという。
 このうち、ガン患者については、USPの研究施設として五月から機能し始めたオタヴィオ・フリアス・デ・オリヴェイラ・サンパウロ・ガン研究所での対応が考えられるが、五日エスタード紙によれば、同研究所で次週から使用可能となる一五床が、HC救急外来から回されるガン患者に提供される予定だという。
 ちなみに、二日エスタード紙は、飲酒運転禁止法施行後の六月二十日~七月末の国道での交通事故数は前年とほぼ同じだが、負傷者は七%、死亡者は一五%減少。サンパウロ市内の五市立病院での七月の交通事故被害者への対応も六・〇八~五九・四一%減少、と報じた。