ニッケイ新聞 2008年8月6日付け
「初耳です」「目からウロコが落ちました」。そんな言葉が先日、ある県人会で行われたデカセギ子弟の教育問題に関する説明会で、日本から参加した現場教師たちの口から次々にもれたとの話を聞いた▼文化教育連帯協会(ISEC)の専門家らが説明したのは、デカセギ子弟の抱える精神的なストレス、バイリンガル教育の重要性、日本各地で始まっている取り組み例など▼同協会は毎年、同様の主旨のシンポを開催して啓蒙をはかってきたし、それを報道する形で邦字紙も何度も書いてきた内容だ。だが日本の教師は前述の様子だったため、説明する側にいた一人は「ため息が出る思いだった」という▼ここ数年、日本が夏休みに入ると教育委員会関係者や教師らの使節団が訪れるのが風物詩のようになった。説明する側からは「いつも話す内容は同じ。ビデオでも作った方がいい」「日本国内での横の繋がりやノウハウの蓄積が全くないのに驚く」という声も▼弊紙のサイトで「デカセギ子弟」「教育問題」などと検索すれば大量の記事がでてくる。それを斜め読みするだけでも参考になるだろう。せっかく遠くまで来るのだから、ある程度の事前学習をした方が有効な時間の使い方ができよう▼ちょっと専門家の話を聞いて、数校視察したらすぐに解決法が分かるほど簡単な問題ではない。でも、あちこちから視察にきていること自体は高く評価したい。子供らがどんな国から来たかを理解するだけで大きな意味がある▼少なくとも日本国内において、教育現場にいるものがデカセギ子弟の教育ノウハウを蓄積できるネットワークは早急に作られるべきだろう。(深)