ニッケイ新聞 2008年8月9日付け
最高裁は七日、警察の作戦執行中における手錠使用は容疑者が逃亡、または結託して抵抗する可能性がある場合に限るとする要綱通達の意向と八日付けエスタード紙が報じた。治安当局のショー的要素と犯罪組織との癒着に、最高裁が一石を投じたらしい。
最高裁は、警察の取り締りに過度の見世物的要素と点数稼ぎが感じられ、実際の治安任務は犯罪組織との癒着などで疎かにされていると判断したらしい。最高裁の要綱に不満があれば、申し出るよう通告した。
最高裁は、法相と州治安当局へも要綱細則を送った。ダンタス頭取とピッタ元サンパウロ市長、ナハス氏は、裁判所から有罪判決も受けていない控訴中の人物だが手錠をかけられた。明らかに当局の越権行為であると、最高裁は判断した。
汚職捜査の解明には、容疑者の基本的人権も考慮する必要があるという最高裁の判断だ。拘束の規定誤用とされる。新聞やテレビに手錠をかける場面を報道し、手錠をかけたまま殺人や強盗と同じ護送車に乗せ、ことさら見せしめにする。
最高裁の審理には、法相や検事総長、OAB(全国弁護士協会)会長も傍聴した。警察当局のショー的要素には世論を味方にし、当局の活動を誇大宣伝する計算とウラがあると見ている。
ラランジャル裁判所では、警備員が少数のため判事が被告に手錠をかけたまま裁判を行った例がある。この裁判は被告人の弁明の機会を抑圧し、陪審員に被告人が人間ではなく猛獣のような印象を与えたことで、最高裁は判決を無効とした。
手錠には心理的影響がある。手錠をかけることで、精神的錯乱に陥ることもある。手錠は、容疑者や被告人の基本的人権を著しく損ねる。刑場に引かれる罪人のような印象を与える。手錠とは、非常手段として用いられるもので、面白半分に使う物ではない。
連邦警察の手錠使用は、連邦令に定めた国民の基本的人権尊重を損なうという最高裁見解だ。連警の手法が槍玉に上がったことでジェンロ法相は、治安当局が作戦執行を好きでやっているのではないと反論した。自ずと連警の使命と権限があるというのだ。