ニッケイ新聞 2008年8月9日付け
米国の金融危機は丸一年を迎え、誰もが何時まで続くのか気を揉んでいる。しかし、危機が過ぎ去るのを安閑と待つのではなく、ブラジルへ波及した時の対処法を考えることが大切であるとIMF(国際通貨基金)のロゴフ元経済顧問がブラジルの金融関係者に警告したと七日付けヴァロール紙が報じた。
国によっては同じ環境の中、低率インフレで見事な経済成長を遂げている。ブラジルが直面する問題は、危機襲来に備えての政治体制が整っていないため経済成長率は低く、インフレ対策は的を射ていないことだ。
米発金融危機は、重傷で癒えるのに時間がかかる。危機快復が遅れたのは、需要管理が杜撰な米国と中国のため。金融危機を広範囲に及ぼすと、リスクも大きくなる。
中国の経済成長と投資レベルは、インフレについて考えていないし危機管理もない。中国の中央銀行には、危機の対処能力もない。中国は通貨「人民元」に融通性を持たせる必要がある。
それをしないと、中国はハイパー・インフレに悩まされる。中国の通貨当事者は、そんなことが起きたらIMFを訪ねるという。中国に限って、そんなことはないと思っているらしい。
中国はオリンピックが終わったら、為替変動制を導入する。金融システムの改革を始めたのだ。これまでの国際経済は、素晴らしい経済成長を遂げ、需要が供給を常に上回っていた。
特に金属コモディティとエネルギー関連品の高騰は世界へインフレをもたらし、ブラジルもそれから免れない。だからブラジルの金融市場は、縮小すると思われる。
そのための対策は、需要を抑える適宜な基本金利の設定。次に国際金融法の創設。ブラジルはGDP(国内総生産)に対する外資の流入が急増した。そのため生産から金融へ重点を移した企業が多い。これらの企業が、金融危機の波をもろに被ることになる。