ニッケイ新聞 2008年8月9日付け
「中華民族100年の夢」とされる北京五輪8日に幕を開いた。204ヵ国・地域から12000人超、日本は390選手と史上最大のオリンピックである。福田首相やブッシュ大統領など世界の80首脳も、あの素晴らしい「鳥の巣」での華麗な開会式に。ギリシャからの灯火リレーの距離も、これまた最長と話題は尽きない▼各国が金メダルを幾つ獲得するかにも目を向けたい。アテネでは米国が63個で1位、中国は32個と2位だったが、北京では卓球や体操を軸に40個を超すの観測がしきりだし、北米の五輪委会長も「中国に負けるかもしれない」と語る。まあー、日本のトップは「夢のまた夢」ながら柔道の鈴木柱次や水泳の北島康介選手がいるし、マラソンの野口みずき選手らには金メダルの期待がかかる▼「一つの世界 一つの夢」をスローガンに掲げる北京五輪は、スイス人の建築家が設計したあの斬新なメインスタジアム(愛称は鳥の巣)を始め競技場の施設などは、これまでの五輪を凌ぐ。だがーテロの不安がある。胡錦濤主席らは、こうした妨害を警戒し北京では軍と武装警官15万人近くを動員し厳戒態勢を敷いている。先ごろは新疆ウイグルの独立派が16人の警官を殺害し、民族問題の根の深さを露呈している▼このテロ事件を取材中の日本人記者2人が、警官に暴行され負傷し拘引されてもいる。中国当局は迅速に謝罪しているけれども、報道の自由もきちんと保障されてはいないのが現状といっていい。中国がテロ防止に力を入れるのはわかるが、報道の自由は民主国家の基幹なのを忘れないで欲しい。 (遯)