ニッケイ新聞 2008年8月12日付け
連邦会計検査院(TCU)が八日、国内の九空港工事入札が水増しにより三十億レアルの損害をもたらすと通告したことを十一日付けエスタード紙が報じた。工事はInfraero(空港業務公団)が入札を予定したものだが、一般航空業務と二〇一四年のW杯サッカーを前に工事の中止もあるという。
TCUが六日に入札の工事コストを監査させたところ、技官らが見積りの六九・五三%を水増しとし、契約額の三三・八一%で可能という試算書を提示し、入札の一時中止を求めた。
TCUと空港公団の間では、滑走路の増築を巡り、工事コストの見積もりで真っ向から意見が対立。双方の意見が正面衝突したのは、クンビッカ空港。主要滑走路となる第三ターミナルだ。
空港公団はクンビッカ空港がサンパウロ州航空業務の要で、リオのガレオン空港に相当するという。ここでトラブルが発生すると、サンパウロ州全体のダイヤに狂いを生じる。サンパウロ州はビジネス・センターであり、ブラジル経済にも影響を及ぼすと強調。
入札は七月の予定であったが、延期された。第三ターミナルは、W杯が行われる二〇一四年十二月完成予定。それでは、W杯に間に合わないと公団がいう。必要なのは、ターミナルだけではない。必ず付帯設備が、つき物なのだ。
TCUは、予算法(LDO)に基づきSicro(国道見積り)とSinapi(公共建物)の建築コスト見積り試算に従う。空港公団は乗客の生命を預かる設備の機能性に重点を置く。その他の公共設備に、いくらかかったかは関知しないし、視点が異なる。
この見解の相違についてカレイロ都市計画相は二月、官房室にLDOの見直しを求めた。しかし、梨のつぶてであった。先の航空トラブルで滑走路の拡張と保全を急務とし、三月に工事を始めたが、四月には中断。
結局、急務のはずが、朝礼暮改で現在まで放置された。工事担当の公団職員二十二人は毎日、現場で昼寝だ。TCUは入札を認めないが、公団の工事継続は差し支えないという。工事を請け負った下請けは、公団を相手に訴訟せよと、TCUは通知した。
しかし、現実としてTCUの命令に従えば、公団は国会で水増しを追及され、トラブルが起これば機能責任を問われる。公団は立つ瀬がない。