ニッケイ新聞 2008年8月12日付け
政府は九日、岩塩下で広範囲に広がることが予想される大油田の試掘権をペトロブラス石油公団(PB)一社の采配に委ねる意向のないことを表明と十日付けフォーリャ紙が報じた。
理由は二つ。一はPBが、民間資本を含む総合企業であること。二は大企業に発展し、権力掌握により政府内政府を樹立する可能性があること。前例は、ベネズエラのPDVSA(ベネズエラ石油公団)だ。同公団幹部が、反政府活動に肩入れをした経緯がある。
PBは独立権限を持つ一経営体で、ただ友好的であるに過ぎない。これ以上の権限付与は、将来に禍根を残すという考えだ。これまでPBが、政府に反旗を翻すことはなかったが、中長期的に見て可能性はあるという。
政府は、石油関連の二公社を設立したノルウエイ方式を導入するらしい。生産供給と試掘専門に分ける。両社とも株式を公開し、株所有率管理は政府が行う。
PBは不安定な石油市場と政府の優柔不断な岩塩下油田の試掘条件決定で、株価が動揺している。政府がPBから試掘権を取り上げるという噂があるからだ。
もう一つの噂は、岩塩下の油田発見は、リスクが高いので試掘条件を緩和するというのだ。油田が発見されたら、良質な原油のため増税で利益を調節するという。
政府の試掘条件決定があまりに遅いため、PBへの投資も滞っている。条件決定の遅延は色々の憶測を生み、下手すると見限られる。ようやく決まったときは、不良株のレッテルを貼られ、試掘権の付与にもソッポを向かれる。