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裁判のスピード化発効=軽犯罪は1時間で=公判1回で判決待ちへ=動き出したか司法制度

ニッケイ新聞 2008年8月13日付け

 サンパウロ州第一法廷のマサジ裁判長が十一日、裁判制度の簡略化と敏速化のため、発効したばかりの法令一一・六八九号を適用したと十日付けエスタード紙が報じた。これまでの公判は、悠長に三カ月もかかったが、一時間以内にスピード化。簡略化した裁判制度では、検事と弁護人双方の口述を聴聞、その後陪審員によって判決日を決める。
 裁判システムの主な変更は、従来は陪審員への質問が専門的で時間が無制限であったのを、質問は三題、補足質問は二題にした。出廷は従来三回が、一回に。公判は、半年以上経過しない。被告欠席の判決は、例外を除いて日延べをしない。
 新法令によれば、何回も公判のために一日仕事を休んで、足を運ぶ必要がなくなる。証人に迷惑が少なくなる。被告と証人の証言が終わったら、裁判は終わる。被告に不満があれば、裁判官に再度、開廷を要請する。
 従来の複雑なシステムでは、証人まで何度も裁判所通いをさせられた。一回目は裁判官が、被告を有罪と判断するかの証言。二回目は、陪審員へ証言するための出廷。被告の身内でない証人にとって煩わしかった。
 被告の最終弁論は二十分で行い、一回の出廷で終わる。従来は文書で行い、書類の往来に二カ月がかかった。複雑な知能犯罪でなければ、一審で終わる。仮釈放になっている被告は、長期裁判を望むこともある。
 公判の六〇%は、単純犯罪とされる。四〇%は複数の被告と多数の証人からなり、一回の公判では処理仕切れないという。原告の証人が欠席すると、被告の証人による証言は認められない。
 被告の証人欠席で公判の未成立は、毎度のことで珍しくない。一日当たりの公判は、従来六件。これからは原告と被告、証人、弁護人が揃えば、トコロテン式に量産が可能になる。
 新法令はマンションから落とされたイサベラちゃんの死亡事件判決にも適用される。大統領の裁可前に判事が同事件の起訴を決定してなかったため、新法令によって審理をすることになる。