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慶応USP国際シンポ=法学部と医学部で開催=国外犯処罰やデカセギ関連も

ニッケイ新聞 2008年8月13日付け

 慶応大学とサンパウロ大学(USP)が共催する日ブラジル際シンポジウムが十六、十八、十九日にUSP医学部と法学部で開催される。慶応大学からは法学部三人、医学部二十人ほか計三十人が来伯する。日本移民百周年と慶応大学創立百五十周年を記念して行われる。
 医学部とブラジルの交流の歴史は古く、慶応卒で同仁会創立者の一人、細江静男医師時代から繋がりがある。日本人としては二人目、ブラジルの医師免許を取得するためにUSP医学部を四〇年に卒業した。加えて、旧日本病院(現サンタクルス病院)の初代院長も慶応卒だ。法学部は七九年から提携を結び、八一年には全学同士に拡大された。
 十六日は午前十時から両学部合同開会式が医学部記念講堂で行われる。
 法学部の全体コーディネーターは森征一常任理事で、十八日午前九時二十分から日伯の労働者の権利、午後十一時から国外犯処罰(代理処罰)、午後三時からデカセギ・セミナー(前半)として主に教育や社会保障、医療、差別などについて話し合われる。午後六時からは商法関連について。
 十九日午前九時二十分から民法、十一時から消費者法関連、午後二時半からデカセギ・セミナー(後半)として主に良い点を取りあげる。日本文化への馴化、ブラジル文化の伝達、日伯間の人的交流促進など。午後五時から民事手続法。同午後七時から閉幕式で、法学部シンポ全体の共同宣言をまとめる。同時通訳により日ポ両語で行われる。
 伯日比較法学会の渡部和夫理事長は会見し、「国外犯処罰の裁判は州が担当なのか連邦なのかなども含め、議論を深め、一般のコンセンサスに反映させたい」などとの意気込みを語った。
 医学部シンポのコーディネーターは竹内勤慶応大学教授で、当日はポ語と英語の同時通訳。南米特有のシャーガス病や感染症についての発表を始め、デカセギ・セミナーもあり、日本国内での肝炎の状況や異文化接触によるストレス、帰伯症候群についての報告もある。
 慶応医学部からは毎年三~四人の学生が来伯し、一カ月間ほど無医村などで研修する「国際医学研究会」が三十一年間続けられている。
 会見した石岡愼一USP医学部教授は「この機会にさらに交流を促進させたい」と語った。