ニッケイ新聞 2008年8月14日付け
投資ファンドが食糧インフレを引き起こしたと騒がれたことで、投資家が農産物コモディティ先物市場から投資を引き上げたと十三日付けフォーリャ紙が報じた。
投資を引き上げた後の先物市場は、植付けを始めたブラジルの生産者に暗い影を落とした。過去三十日、世界の相場を決めるシカゴ穀物市場の価格は、続落した。
大豆相場の最高時であった三十日前には、ヘクタール当たりの利益は四百ドルと見られていた。今はそれが、百ドルに下がった。生産者にとっては、天国から地獄へ落ちた気分だ。
そればかりではない。大豆相場が下がったときにドルが反騰、肥料価格が倍増し生産コストが記録的に高騰した。大豆相場はどこまで下落するか分からない上、生産コストは高騰し、銀行融資の決済が心配になった。
農村は、二年前の悪夢が再来しそうだ。悪いのはファンドだけではない。穀類関連企業が、一斉に在庫処分をしたのも影響した。ブラジルの大豆植付けは〇八年に激減し、〇九年は供給不足で相場が暴騰する予想。
穀物相場に原油相場も同調下落し、金融市場の雰囲気が変わった。これでドルが息を吹き返したので物価高騰を呼び、経済成長は減速し、需要の減退が見込まれた。穀物相場の下落には、米国の豊作発表もある。それまでは、穀倉地帯のハリケーン被害で実態が分からなかったからだ。
ブラジルの農産組合が、今年の植付けで生産者に農業資材への融資申請を最小限に控えるよう呼びかけた。作物を全部売っても、銀行融資を決済できなくなりそうだ。二〇〇八年の農産物バブルは、崩壊したのだ。